ホームマーケット市川レポート 経済・相場のここに注目米相互関税ショックと日本株のスタイル別・業種別パフォーマンス

2025年5月12日

三井住友DSアセットマネジメント
チーフマーケットストラテジスト 市川 雅浩

【市川レポート】米相互関税ショックと日本株のスタイル別・業種別パフォーマンス

●米相互関税の発表前後で、日本株のスタイル別・業種別指数はどのように推移したかを検証する。
●3月26日から4月7日の期間、大型、バリュー、外需、半導体株が2ケタ下落もその後2ケタ上昇。
●ただ3月26日から5月9日までの期間でみると、内需株、連続増配株、リートなどが相対的に好調。

米相互関税の発表前後で、日本株のスタイル別・業種別指数はどのように推移したかを検証する

日経平均株価は4月2日の米相互関税導入の発表を受けて急落し、4月7日には31,136円58銭で取引を終え、年初来安値を大きく更新しました。直前につけた終値ベースの高値は3月26日の38,027円29銭でしたので、8営業日で18.1%下落したことになります。その後、4月9日に相互関税の上乗せ税率分の一部90日間停止が発表され、米国と貿易相手国との関税交渉が始まると、日経平均株価は次第に買い戻し優勢の展開となりました。

 

日経平均株価は、先週金曜日の5月9日、37,503円33銭で取引を終え、4月7日からの上昇率は20.4%に達しています。このように、米相互関税への強い警戒から、一時は急落した日経平均株価ですが、すでに3月26日の終値に近づきつつあり、落ち着きを取り戻しています。そこで今回のレポートでは、この期間、スタイル別・業種別指数はどのように推移したかを検証します。

3月26日から4月7日の期間、大型、バリュー、外需、半導体株が2ケタ下落もその後2ケタ上昇

図表の左側は、3月26日から4月7日までの主要指数やスタイル別、業種別指数などのパフォーマンスを示したものですが、大型株やバリュー株、外需株、半導体株は、日経平均株価と東証株価指数(TOPIX)の下落率を超えていることが分かります。また、業種別では金融やエネルギーの下落が目立つ一方、食料品、陸運業、小売業の下げは相対的に小さいものとなりました。

 

図表の右側は、4月7日から5月9日までのパフォーマンスを示したものです。軒並み大きく持ち直していることが確認され、上昇率は大型株が小型株を、外需株が内需株をそれぞれ上回りましたが、バリュー株はグロース株を下回っています。業種別では図表の左側で下落の目立った金融などが大きく反発し、同じく図表の左側で相対的に下げが小さかった業種の上昇率は、金融などに比べ、やや控えめなものとなりました。

ただ3月26日から5月9日までの期間でみると、内需株、連続増配株、リートなどが相対的に好調

なお、期間を3月26日から5月9日までとした場合、日経平均株価は1.4%下落、TOPIXは2.8%の下落となります。同期間における大型株やバリュー株、外需株、半導体株の下落率は、日経平均株価とTOPIXの下落率よりも依然として大きい状況にある一方、グロース株と内需株の下落率は日経平均株価とTOPIXを下回っています。また、連続増配株と東証リート指数については、この期間、それぞれ3.3%上昇、0.7%上昇となっています。

 

そして、東証33業種のうち、3月26日から5月9日までの期間で上昇しているのは、小売業(6.4%)、情報・通信業(5.1%)、食料品(5.0%)など10業種でした。足元で日本株は戻り基調にありますが、3月26日を起点としてみれば、内需株、連続増配株、リートなどが総じて選好されている模様です。ただ、この先、米相互関税への懸念が払しょくされるにつれ、外需株や半導体株などの出遅れ修正が進むことも予想されます。