ホームマーケット市川レポート 経済・相場のここに注目2024年平均賃上げ率の上昇は日本株の支援材料に

2024年3月29日

三井住友DSアセットマネジメント
チーフマーケットストラテジスト 市川 雅浩

【市川レポート】2024年平均賃上げ率の上昇は日本株の
 支援材料に

●2024年の平均賃上げ率は第2回集計で5.25%、最終集計でも5%超なら33年ぶりの高水準。
●昨年からの大幅な賃上げの動きは日本株の支援材料、賃上げは様々な経路をたどり株高に働く。
●実質賃金の前年同月比の伸び率は7-9月期にプラスへ、株価はより大きく押し上げられる可能性。

2024年の平均賃上げ率は第2回集計で5.25%、最終集計でも5%超なら33年ぶりの高水準

労働団体の「連合」は3月15日、2024春季生活闘争(春闘)の第1回回答の集計結果を公表しました。それによると、基本給を底上げする「ベースアップ(ベア)」と、「定期昇給」を合わせた賃上げ率は平均で5.28%と、前年同時期比1.48ポイント上昇しました。22日には第2回回答の集計結果が公表され、平均賃上げ率は5.25%と、第1回の5.28%からわずかに低下しましたが、前年同時期比1.49ポイント上昇しました。


2024年の平均賃上げ率は、2023年実績の3.58%を上回る見通しで、最終集計(7月上旬頃)でも5%を超えれば、1991年以来33年ぶりの高い水準となります。なお、組合員数300人未満の中小企業の平均賃上げ率をみると、第2回は4.50%(前年同時期比1.11ポイント上昇)と、第1回の4.42%(同0.97ポイント上昇)から改善しており、賃上げの動きは中小企業にも広がっていることが確認されました。

昨年からの大幅な賃上げの動きは日本株の支援材料、賃上げは様々な経路をたどり株高に働く

連合のデータに基づき、1989年から2023年までの賃上げ率の推移を示したものが図表1です。1989年から1991年まで、賃上げ率は5%台でしたが、バブル崩壊とともに低下の一途をたどり、2003年には1.63%の低水準となりました。賃上げ率の推移に日経平均株価の推移を重ねると、連動性の高い時期も多くみられることから、2023年、2024年と、大幅な賃上げの動きが続いていることは、日本株の支援材料になると思われます。


一般に、賃金の上昇は様々な経路をたどって株価を押し上げる方向に働くと考えられます。具体的には図表2の通りで、例えば、家計の賃金が上昇し、所得が増えれば、消費の増加が期待されます。家計の最終消費支出はGDPの構成項目ですので、実際に消費が増加すれば、GDPが増加し、株価の追い風になります。また、家計の所得が増え、投資余力が生じれば、2024年1月から始まった新しい少額投資非課税制度(NISA)などを利用した、日本株の見直しも期待されます。

実質賃金の前年同月比の伸び率は7-9月期にプラスへ、株価はより大きく押し上げられる可能性

こうしたなか、少し気掛かりなのは、物価を考慮した1月の実質賃金は前年同月比0.6%減と、22カ月連続でマイナスとなっていることです。ただ、弊社はこの先、輸入物価上昇によるコストプッシュ圧力の減衰が続くなか、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数、コアCPI)は減速基調をたどる一方、名目賃金の大幅な引き上げが実現していくことで、実質賃金は2024年7-9月期中に前年同月比の伸び率がプラスに転じると予想しています。


その結果、家計の消費が増えれば、図表2の通り、株価はより大きく押し上げられることが見込まれます。なお、弊社はコアCPIが2%程度の伸びで安定し、日銀が追加利上げに動くのは2025年と考えていますが、賃金や消費の動向次第で早まることも想定されます。その場合、追加利上げの株価への影響も懸念されますが、賃金増、消費増という環境では株価が先んじて上昇し、追加利上げを過度に心配するほどではなくなっているとも考えられます。