2023年7月5日
三井住友DSアセットマネジメント
チーフマーケットストラテジスト 市川 雅浩
【市川レポート】2023年後半の米国株見通し
●今年前半の米国株式市場はハイテク株が好調、ナスダック総合株価指数やSOX指数が大幅高。
●2023年12月末のダウ平均は36,000、S&P500指数は4,500、ナスダックは13,180を見込む。
●S&P500指数のEPSは、来年2ケタの伸びを予想、先行きに過度な悲観はそれほど必要なかろう。
今年前半の米国株式市場はハイテク株が好調、ナスダック総合株価指数やSOX指数が大幅高
今回のレポートでは、6月22日に更新した弊社の米国株の見通しについて、主なポイントを解説します。はじめに、2022年12月30日から2023年6月30日までの主要株価指数の騰落率を確認すると、ダウ工業株30種平均は+3.8%、S&P500種株価指数は+15.9%、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は+31.7%でした。また、主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は+45.1%となりました。
このように、今年前半の米国株式市場は、ハイテク株の大幅な上昇が目立っています。特に大型ハイテク株が好調で、背景には、革新的な技術と将来の成長性に対する強い期待感や、信用条件が引き締まった場合でも、潤沢な現金を持つ安心感などがあると思われます。参考までに、S&P500指数構成企業の時価総額について、アップルなど上位7社の合計は、6月30日時点でS&P500指数全体の時価総額の28.5%に達しています。
2023年12月末のダウ平均は36,000、S&P500指数は4,500、ナスダックは13,180を見込む
次に、この先の米国株に関する弊社の見通しをご紹介します。基本的には、レンジを緩やかに切り上げる展開を想定しており、具体的な数値は図表の通りです。12月末の予想着地水準は、ダウ平均が36,000ドル、S&P500指数が4,500ポイント、ナスダックが13,180ポイント、来年3月末は、順に36,900ドル、4,600ポイント、13,470ポイントに、それぞれ設定しています。
米国では引き続き、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策判断を見通す上で、雇用や物価などの経済指標が注目されていることから、目先の米国株は、経済指標の強弱に一喜一憂する、ボラタイル(変動の大きい)な相場展開が見込まれます。ただ、弊社は米国経済について、景気後退(リセッション)を回避し、軟着陸(ソフトランディング)となる可能性が高まったと考えており、基調的な株価の底堅さは維持されるとみています。
S&P500指数のEPSは、来年2ケタの伸びを予想、先行きに過度な悲観はそれほど必要なかろう
なお、ダウ平均の史上最高値(終値ベース、以下同じ)は、2022年1月4日につけた36,799ドル65セントですが、弊社の来年3月末の予想着地水準は、これを上回ることになります。一方、S&P500指数とナスダックの史上最高値は、それぞれ、2022年1月3日につけた4,796.56ポイント、2021年11月19日につけた16,057.44ポイントですが、これらの更新には、もう少し時間を要するとの見方をしています。
米大型ハイテク株については、ここまでかなり大きく上昇してきたこともあり、やや一服感が出やすい時間帯に入ることも予想されますが、前述の革新的な技術と将来の成長性に対する強い期待感自体は、今後も続く公算が大きいと考えます。また、弊社はS&P500指数の1株あたり利益(EPS)について、2024年は前年比+11.3%の伸びを見込んでおり、現時点で先行きに対する過度な悲観は、それほど必要ないと思われます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。