9月相場の季節性

2022年9月2日

●過去63年間のデータをみると、年前半の日経平均株価の月間騰落率は、各月とも平均でプラス。

●年後半の日経平均株価の月間騰落率は状況が一変、7月から9月までの各月は平均でマイナス。

●1年間では9月が最も不調、過去の危機などの影響とみられるが、今年もボラタイルな相場展開か。

過去63年間のデータをみると、年前半の日経平均株価の月間騰落率は、各月とも平均でプラス。

日経平均株価について、過去の月間騰落率をみると、興味深い動きが確認されます。そこで以下、具体的に1959年から2021年までの過去63年間のデータを用いて、月間騰落率の平均値を算出してみます。まず、1月から3月までの結果をみると、1月は+1.8%、2月は+0.7%、3月は+1.5%と、いずれも日経平均株価の上昇傾向がうかがえます(図表1)。各月の上昇確率は、順に69.8%、57.1%、58.7%となっています。


次に、4月から6月までの数字を計算すると、4月は+1.2%、5月は+0.3%、6月は+0.7%となり、1月から3月に引き続き、上昇傾向が確認されます。各月の上昇確率は、順に63.5%、49.2%、61.9%となっており、5月について、月間騰落率の平均値はプラスですが、過去63年間でマイナスとなった年が32回あり、上昇確率は50%を下回っています。ただ、年前半の日経平均株価の月間騰落率は、各月とも過去平均でプラス、ということができます。

年後半の日経平均株価の月間騰落率は状況が一変、7月から9月までの各月は平均でマイナス

次に、7月から9月までの月間平均騰落率をみると、7月は-0.2%、8月は-0.5%、9月は-0.5%となり、1月から6月までの動きとは一転し、いずれも下落傾向が確認されます。各月の上昇確率は、順に49.2%、49.2%、47.6%で、そろって50%を下回っています。なお、8月と9月の月間平均騰落率はほぼ同じですが、厳密にみると、8月は-0.4936%、9月は-0.4951%となっており、9月の方が若干下げています。


最後に、10月から12月をみると、10月は0.0%(厳密には-0.0359%)、11月は+1.4%、12月は+1.5%と、年末に向けて月を追うごとに、日経平均株価の月間平均騰落率は改善する傾向がみられます。各月の上昇確率は順に50.8%、58.7%、66.7%と、そろって50%を上回っています。10月について、月間騰落率の平均値はごくわずかにマイナスですが、過去63年間でプラスとなった年が32回あり、上昇確率は50%を上回っています。

1年間では9月が最も不調、過去の危機などの影響とみられるが、今年もボラタイルな相場展開か

以上より、過去63年間のデータを踏まえると、日経平均株価の月間平均騰落率は、年前半の1月から6月まではプラス、年後半は7月から10月がマイナスとなり、11月と12月は再びプラスに転じる、という傾向がうかがえます。1年を通してみた場合、日経平均株価は平均的に、夏から秋にかけてのパフォーマンスが低調で、特に9月が最も不調、ということになります。


日経平均株価のこのような傾向は、過去、7-9月期に大きな危機やショックがよく発生したことが影響していると推測されます(図表2)。株式市場では、引き続き米国の物価動向、利上げペース、景気への影響が主な焦点となっており、今晩発表の8月米雇用統計、9月13日の米8月消費者物価指数、20日、21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目されるなか、今年もかなりボラタイルな(変動の大きい)9月相場が予想されます。