株価反発の持続性を考える上で重要な今週のイベント
2022年7月25日
●今週はイベント目白押し、FOMCは今後の利上げペースの手掛かりや、物価と景気の判断が焦点。
●米4-6月期GDP下振れ時の株価の反応や、GAFAM決算で業績に安心感がでるか否かに注目。
●今週のイベントを経て、米国株などが底堅さを維持できれば、弱気相場への警戒は徐々に後退か。
今週はイベント目白押し、FOMCは今後の利上げペースの手掛かりや、物価と景気の判断が焦点
先週は、日米欧の主要株価指数が軒並み大きく上昇しました。日経平均株価の上昇率は4.2%に達し、東証株価指数(TOPIX)、ナスダック総合株価指数、ドイツ株価指数(DAX)の上昇率は、そろって3%台に乗せました。米国では、ダウ工業株30種平均とS&P500種株価指数もしっかりと上昇しており、これを弱気相場終了の兆しとみるか、ベアマーケットラリー(弱気相場の中での一時的上昇)とみるかで、市場の意見が割れています。
こうしたなか、今週は、株高の持続性を判断する上で重要なイベントが目白押しです。以下、主なイベント(図表)と注目ポイントを整理します。まず、米国では、7月26日、27日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、27日にFOMC声明の公表とパウエル議長の記者会見が予定されています。今回、75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げはほぼ織り込み済みで、今後の利上げペースの手掛かりや、物価と景気の判断が焦点です。
米4-6月期GDP下振れ時の株価の反応や、GAFAM決算で業績に安心感がでるか否かに注目
7月26日には、国際通貨基金(IMF)が、世界経済見通しの改定版を公表し、28日には4-6月期の米実質GDP成長率が発表されます。仮に、IMFが米国の成長見通しを下方修正した場合や、4-6月期の実質GDP成長率が市場予想(前期比年率+0.5%)を下回った場合は、米国株の反応が注目されます。一般に、これらは米国株にとって悪材料ですが、急激な利上げが回避されるとの受け止めになれば、異なる反応も予想されます。
さらに、米国では今週、ハイテク企業の代表格であるGAFAM(グーグルの持ち株会社アルファベット、アップル、旧フェイスブックのメタ、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト)の4-6月期決算が発表されます。四半期実績もさることながら、やはり業績見通し(ガイダンス)への市場の関心は、かなり高いように思われます。業績の先行きが、懸念されていたほど悪くないとの見方につながるか否かが、ポイントになると考えます。
今週のイベントを経て、米国株などが底堅さを維持できれば、弱気相場への警戒は徐々に後退か
一方、日本でも重要イベントが予定されています。7月25日は、高田創氏と田村直樹氏の日銀審議委員就任会見が行われます。とりわけ、リフレ派と一線を画すとみられている高田氏の発言が注目されており、仮にドル円相場が発言に反応した場合、日本株も動意が強まると思われます。また、今週から、3月期決算企業による決算発表が本格化し、市場では半導体製造装置や電子部品、電気機器メーカーの動向に関心が集まっています。
なお、日本企業は、総じて控えめな予想を示す傾向があるため、今回の決算で業績予想を上方修正する企業はまだ少ないとみられ、決算を機に日本株全体が大きく上昇する展開は、まだ少し先になると考えます。以上の一連の重要イベントを経て、米国をはじめとする主要国の株価指数が今週、大きく崩れることなく、底堅さを維持できれば、弱気相場は終了に向かいつつあるとの見方が、少しずつ広がることも想定されます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。