ホームマーケット市川レポート 経済・相場のここに注目日本の外需株と内需株および高配当株の動向について

日本の外需株と内需株および高配当株の動向について

2022年6月29日

●日経平均とTOPIXの年初来騰落率は、それぞれ-6.1%、-4.3%で、日経外需株50は-1.8%。

●一方、日経内需株50は+9.5%、日経高配当株50は+11.7%と、相対的に好パフォーマンス。

●この傾向が続くとは限らないが、世界経済に不安が残る間は内需や配当は選好されやすいテーマ。

日経平均とTOPIXの年初来騰落率は、それぞれ-6.1%、-4.3%で、日経外需株50は-1.8%

今回のレポートでは、日本の外需株と内需株および高配当株の動向に注目します。具体的には、日本経済新聞社が算出・公表している「日経平均外需株50指数」、「日経平均内需株50指数」、「日経平均高配当株50指数」について、年初来のパフォーマンスなどを検証します。比較のため、日経平均株価と東証株価指数(TOPIX)について、昨年末から昨日までの騰落率を確認しておくと、それぞれ-6.1%、-4.3%となっています。


はじめに、日経平均外需株50指数からみていきます。この指数は、外需株の動向を表すことを目的に設計した、等ウエート方式の株価指数です。日経平均構成銘柄のうち海外売上高比率の高い50銘柄から構成されます。ウェートの高い上位5業種は、電気機器、自動車、機械、精密機器、化学であり(2022年5月末時点)、昨年末から昨日までの騰落率は、-1.8%となっています(図表1)。

一方、日経内需株50は+9.5%、日経高配当株50は+11.7%と、相対的に好パフォーマンス

次に、日経平均内需株50指数を検証します。この指数は、内需株の動向を表すことを目的に設計した、等ウエート方式の株価指数です。日経平均構成銘柄のうち国内売上高比率の高い50銘柄から構成されます。ウェートの高い上位5業種は、鉄道・バス、小売業、銀行、不動産、サービスであり(2022年5月末時点)、昨年末から昨日までの騰落率は、+9.5%となっています。


最後に、日経平均高配当株50指数を確認します。この指数は、日経平均構成銘柄のうち配当利回りの高い50銘柄から構成される、配当利回りウエート方式の株価指数です。構成銘柄の指数算出上のウエートは、配当利回りに流動性(売買代金)を加味して決定されます。ウェートの高い上位5業種は、銀行、商社、保険、通信、海運であり(2022年5月末時点)、昨年末から昨日までの騰落率は、+11.7%となっています。

この傾向が続くとは限らないが、世界経済に不安が残る間は内需や配当は選好されやすいテーマ

参考までに、各指数を構成する銘柄のうち、昨年末から昨日までの期間において、上昇率の大きい上位5銘柄は図表2の通りです。今回は、日経平均外需株50指数、日経平均内需株50指数、日経平均高配当株50指数の動きを検証しましたが、年初来のパフォーマンスは、3指数とも日経平均株価とTOPIXを上回っており、日経平均内需株50指数と日経平均高配当株50指数はプラス圏にあります。


この背景には、世界経済の先行きに不透明感が強いなか、海外景気の影響を受けにくい内需や、配当に注目した投資マネーの動きがあると推測されます。ただ、図表2の銘柄をみる限り、資源価格の上昇や、インフレに起因する金利上昇の動きも、追い風になった模様です。この先も同様のパフォーマンスが続くとは限りませんが、資源価格、インフレ、世界経済の見通しにくい状況が続けば、一般に内需や配当は選好されやすいテーマと思われます。