ホームマーケット市川レポート 経済・相場のここに注目日経平均株価の下値目途と予想される年末着地水準

日経平均株価の下値目途と予想される年末着地水準

2022年3月14日

●日経平均の長期上昇トレンドを形成する下値支持線は相応に強く、現在25,000円付近にある。

●25,000円を大きく下抜けた場合、次の目途は24,500円や23,600円が意識されやすいとみる。

●ただ流動性相場継続で長期上昇トレンドは維持、年末は29,500円へ、弊社予想は30,600円。

日経平均の長期上昇トレンドを形成する下値支持線は相応に強く、現在25,000円付近にある

2月2日付レポート「日経平均株価の現在の立ち位置」で解説した通り、日経平均株価は、2013年5月高値と2018年1月高値を結んだ上値抵抗線と、2012年10月安値と2016年6月安値を結んだ下値支持線によって、上昇トレンドが形成されています(図表1)。この下値支持線は、3月末時点で25,000円に位置しており、足元の日経平均株価を支える水準と解釈できます。


ただ、ウクライナ情勢が混迷し、世界的に株安が進行するなかで、日経平均株価は3月8日と9日の両日、25,000円を下回って取引を終えました。なお、日経平均株価は2020年の春先にコロナ・ショックが発生した際も、下値支持線を割り込んだ経緯があります。しかしながら、その後は下値支持線を回復し、上昇トレンドは維持されたことから、この下値支持線は、相応に強いものと考えます。

25,000円を大きく下抜けた場合、次の目途は24,500円や23,600円が意識されやすいとみる

ただ、ウクライナ情勢の先行きが見通しにくい現状、日経平均株価がこの先、一時的に25,000円を大きく下回る展開となる可能性も否定できません。そのため、次の下値目途をあらかじめ確認しておくことは、冷静に相場を考える上でも必要と思われます。なお、相場の不透明感が強まった場合は、より客観的な水準が下値目途として意識されやすくなるため、その点を踏まえて水準を確認します。


日経平均株価の直近高値は、2021年9月14日の30,670円10銭です(終値ベース、以下同じ)。一般に、直近高値からの下落率が20%を超えると「弱気相場」入りとされるため、その目安となる24,536円08銭が、まずは下値目途として意識されやすいと考えます。また、コロナ・ショック後の安値(2020年3月19日の16,552円83銭)から、昨年9月高値までの上昇幅を、半値押した水準である、23,611円47銭が、その次の目途として注目されやすいと思われます。

ただ流動性相場継続で長期上昇トレンドは維持、年末は29,500円へ、弊社予想は30,600円

ここで、改めて日米欧の中央銀行の総資産残高に目を向けると、2008年のリーマン・ショック以降、残高は増加し続けており、現在25兆ドル近くに達しています。日経平均はこの間、大幅な下落を何度も経験しましたが、これら潤沢な流動性が緩衝材となり、下落後の反発を繰り返し、長期的な上昇トレンドを形成してきました。弊社の試算では、年末までの総資産残高はほぼ横ばいとなり、流動性相場は続く見通しです(図表2)。


そのため、日経平均の長期上昇トレンドは維持される公算が大きく、25,000円を割り込んでも、反発の余地は残ると考えています。長期上昇トレンド継続の場合、年末時点で、上値抵抗線は32,650円、下値支持線は26,350円に位置しているため、日経平均株価は年末にかけ、まずは両線の中央値である29,500円あたりを目指す展開が予想されます。なお、弊社は年末の着地を30,600円水準に設定し、同じく株価の持ち直しを見込んでいます。