メジャーSQ通過後の日経平均株価の動きについて
2021年9月10日
●日経225先物と日経225オプションは9月10日に満期日を迎え、同日算出のメジャーSQで決済。
●日経平均はメジャーSQ前に大きく上昇、ただSQ通過後は、価格変動が一服する傾向もみられる。
●メジャーSQ推定値超えで日経平均は前場終了、今後の動きに注目だが、上昇トレンドは継続中。
日経225先物と日経225オプションは9月10日に満期日を迎え、同日算出のメジャーSQで決済
SQとは、特別清算指数(Special Quotation)のことで、 日経平均株価を原資産とする日経225先物や日経225オプションなど、金融派生商品(デリバティブ)の最終的な決済に使う価格です。これら先物やオプションは、取引期間が決まっており、満期日の前営業日である取引最終日までにポジションが決済されなければ、満期日に算出されるSQ値で決済されます。なお、取引が満期日を迎える月を限月(げんげつ)といいます。
2021年9月限月の日経225先物と日経225オプションは、取引最終日が9月9日、満期日は9月10日です。SQは、満期日である9月10日、日経平均株価を構成する225銘柄がすべて寄り付いた後に算出されるため、気配値も含めて算出する日経平均株価の寄り付きの値とは異なる場合があります。また、3月、6月、9月、12月は、先物とオプションの限月が重なるため、各月のSQは「メジャーSQ」と呼ばれています。
日経平均はメジャーSQ前に大きく上昇、ただSQ通過後は、価格変動が一服する傾向もみられる
一般に、メジャーSQが近づくにつれ、決済価格の水準を巡り思惑的な売買が膨らみやすくなります。これは、日経225先物や日経225オプション先物の取引主体が、SQ直前の限られた時間で取引判断を迫られるためで、その結果、日経平均株価が一時的に大きく上昇(あるいは下落)することがあります。改めて日経平均株価の動きをみると、8月20日から9月8日までの13営業日で、3,100円超上昇しています(終値ベース)。
ただ、SQ前の価格変動は、基本的にはポジション調整に伴う一時的なものであるため、SQを通過した後は価格変動が一服することが多く、SQの水準が、日経平均株価の「戻り高値」や「押し安値」となることもあります。そこで、2019年12月から足元までの日経平均株価の推移と、メジャーSQの水準を比較し、実際にそのような関係があるのか、検証してみます。
メジャーSQ推定値超えで日経平均は前場終了、今後の動きに注目だが、上昇トレンドは継続中
具体的な動きは図表1の通りで、メジャーSQは、2019年12月に日経平均株価の戻り高値となった後、2020年3月に押し安値となったことが分かります。その後の日経平均株価は、2020年6月、9月、12月のメジャーSQ値を超えて上昇したことから、当時の相場の地合いは、相当に強いものであったと推測されます。しかしながら、2021年に入ると、3月と6月のメジャーSQが戻り高値となり、日経平均株価の上値をおさえました。
以上より、日経平均株価が本日以降、メジャーSQを超えて上昇を続けた場合、上値余地の更なる拡大が見込まれます。朝方、メジャーSQは30,085円93銭(買い気配の新生銀行をストップ高水準で計算)との見方が市場で広がりましたが、日経平均株価はこれを上回る30,347円41銭で前場の取引を終えました。今後の動きも注目されますが、少なくとも長期上昇トレンド(図表2)は継続中と思われます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。