菅首相退陣へ~自民党総裁選と日本株の行方

2021年9月6日

●菅首相は9月3日に総裁選不出馬を表明、すでに党内で政権運営が困難になっていたとみられる。

●今回の総裁選は複数候補による争いに、ただ誰が新総裁となっても、与党の基本方針は変わらず。

●株式市場は政局好転を織り込んだが株高継続は経済対策の内容と衆院選の結果がカギを握る。

菅首相は9月3日に総裁選不出馬を表明、すでに党内で政権運営が困難になっていたとみられる

菅義偉首相は9月3日、自民党の臨時役員会で総裁選への不出馬を表明し、9月6日に予定していた党の執行部人事も取りやめました。自民党総裁の任期は9月30日に満了するため、総裁選不出馬により、菅首相は月内にも退陣する見込みです。なお、総裁選は予定通り9月17日告示、同29日投開票の日程で実施され、自民党は新たな総裁を選び、衆院選に臨むことになります。


報道によれば、菅首相は支持率低迷の打開策として、党の執行部人事を刷新し、総裁選を先送りして衆院選に臨むというシナリオを想定していた模様です。しかしながら、先月の横浜市長選で、菅首相の支援する候補が敗北したことを機に、党内で菅首相の求心力が大きく低下したとみられます。その結果、菅首相の描くシナリオは、党内の支持が得られず頓挫し、政権運営が困難になったと推測されます。

今回の総裁選は複数候補による争いに、ただ誰が新総裁となっても、与党の基本方針は変わらず

菅首相の不出馬表明を受け、総裁選をめぐる動きが活発になってきました。岸田文雄前政調会長はすでに出馬を表明していますが、高市早苗前総務相も出馬の意向です。河野太郎規制改革相は週内にも正式に出馬を表明する見通しで、野田聖子幹事長代行も立候補を目指しています。石破茂元幹事長は、対応について周辺と協議中で、しかるべき時に決断するとしています。


2020年9月の総裁選は、主要派閥が支持した菅氏の圧勝となりましたが、今回は支持する候補の一本化が困難な派閥もあり(図表1)、また、3年ぶりに国会議員票と同数の党員・党友票を争う本格的な選挙戦になるため、結果は見通しにくくなっています。しかしながら、誰が新総裁となっても、コロナ禍の現状では、緩和的な金融政策と拡張的な財政政策という、与党の基本方針は変わらないと思われます。

株式市場は政局好転を織り込んだが株高継続は経済対策の内容と衆院選の結果がカギを握る

衆院選については、これまで菅内閣の支持率低迷で、自民党の苦戦が予想されていました。そのため、菅首相退陣の報道を受け、9月3日の日経平均株価は大幅高となりましたが、これは、「新総裁の選出で自民党の大敗が回避され、安定的な政策遂行が可能になる」という期待によるところが大きいと思われます。ただ、同日の日経平均株価の上昇は、先物主導によるものとみられ(図表2)、株高の持続性は慎重な見極めが必要です。


つまり、先週の株高で、①衆院選での自民党の大敗回避、②経済対策の公表と安定的な政策遂行は、市場にほぼ織り込まれたと考えられます。経済対策は、総裁選後の公表が見込まれますが、景気回復期待が十分に高まる内容となり、衆院選も想定以上に善戦となれば、株高基調継続の公算は大きくなります。ただ、経済対策に目玉となる施策もなく、衆院選で苦戦という結果なら、株価はいったん調整の動きが強まると思われます