米雇用統計に関する今後の注目ポイント

2021年8月10日

●7月の非農業部門就業者数は予想を上回る伸びで失業率も大幅低下、雇用の回復は継続中。

●アトランタ連銀のボスティック総裁やウォラー理事の発言により、次回以降の雇用統計はさらに注目。

●テーパリングの早晩開始は織り込み済み、雇用回復での金融政策正常化は株式市場に好材料。

7月の非農業部門就業者数は予想を上回る伸びで失業率も大幅低下、雇用の回復は継続中

8月6日に発表された7月の米雇用統計では、非農業部門就業者数が前月から94万3,000人増え、市場予想の87万人増を上回りました。また、6月の85万人増、5月の58万3,000人増は、それぞれ93万8,000人増、61万4,000人増に上方修正されました。7月の失業率については5.4%と、6月の5.9%から大幅に低下し、雇用の回復が続いていることが確認されました。


7月の非農業部門就業者数の内訳を見ると、民間部門が70万3,000人増、公的部門が24万人増となっています。民間部門のうち、余暇娯楽が38万人増と、全体をけん引する格好になっていますが、これは米経済活動再開による復職の動きと推測されます。一方、公的部門の雇用増については、季節調整による教職員の雇用増が主因とみられるため、やや注意が必要です。

アトランタ連銀のボスティック総裁やウォラー理事の発言により、次回以降の雇用統計はさらに注目

非農業部門の就業者総数の推移をみると、まだコロナ・ショック前の水準を回復しておらず(図表1)、労働市場の改善を見極めるには、8月分以降の雇用統計を待つ必要があると思われます。なお、最近の米金融当局の発言も、雇用に関するものが目立ちます。アトランタ地区連銀のボスティック総裁は8月9日、力強い雇用増が1、2カ月続けば、10-12月中に量的緩和の縮小(テーパリング)を開始できるとの見方を示しました。


また、米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は8月2日、向こう2回分(7月分と8月分)の雇用統計で、雇用者数がそれぞれ80万から100万人増加すれば、FRBは10月までにテーパリングに着手する可能性があると述べました。ボスティック総裁も、ウォラー理事も、今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を保有しており、次回以降の雇用統計がこれまで以上に注目されます。

テーパリングの早晩開始は織り込み済み、雇用回復での金融政策正常化は株式市場に好材料

ただ、ブレイナード理事は7月30日、9月分の経済データが出そろえば、最大雇用の目標に向けた進展を評価しやすくなると述べ、パウエル議長は7月28日、現時点で完全雇用には達していないとの見解を示しており、早期のテーパリング開始の判断にはやや慎重な様子がうかがえます。今後の雇用統計を経て、ハト派とされるこの2名の発言に、変化が生じるか否かも注目ポイントです。


年末までの雇用統計やFOMCなどのスケジュールは図表2の通りです。テーパリングについて、弊社は今年12月に、来年1月からの実施を決定すると予想していますが、雇用の回復が続けば、1カ月前倒しとなることも十分想定されます。ただ、テーパリングが早晩開始されることは市場に織り込み済みと思われ、雇用の回復を背景とする金融政策の正常化は、株式市場にとっては好材料と考えます。