日経平均株価30,000円台回復の条件

2021年7月8日

●日経平均について、2月高値以降の225銘柄の動きを検証し、30,000円台回復の条件を探る。

●225銘柄のうち、上昇したのは108銘柄で、総じてコロナ禍で影響を受けた銘柄の反発が目立つ。

●大台の回復には値がさの反発が必要だが、一段の景気回復と業績改善を期待できる材料待ちに。

日経平均について、2月高値以降の225銘柄の動きを検証し、30,000円台回復の条件を探る

日経平均株価は2月16日、終値ベースでの年初来高値となる30,467円75銭をつけました。しかしながら、その後は緩やかに水準を切り下げ、上値の重い展開が続いています。昨日は、28,366円95銭で取引を終了しましたが、これは年初来高値から6.9%下げた水準です。このように、日経平均株価は、30,000円の水準が遠くなっただけでなく、29,000円台の定着さえ難しくなっています。


そこで、今回のレポートでは、日経平均株価が年初来高値をつけた2月16日から7月7日までの期間について、日経平均株価を構成する225銘柄の動きを振り返ります。具体的には、同期間において、どのような銘柄や業種が上昇あるいは下落し、日経平均株価に影響を与えたかを検証します。それを踏まえた上で、今後、日経平均株価が30,000円台を回復するための条件を考えていきます。

225銘柄のうち、上昇したのは108銘柄で、総じてコロナ禍で影響を受けた銘柄の反発が目立つ

前述の通り、日経平均株価は2月16日から7月7日までの期間、6.9%下落しました。一方、日経平均株価を構成する225銘柄に目を向けると、同期間で上昇した銘柄は108銘柄、下落した銘柄は117銘柄となっており、決して大半の銘柄が下げている訳ではないことが分かります。なお、上昇した108銘柄の平均上昇率は13.3%、下落した117銘柄の平均下落率は10.2%でした。


上昇した108銘柄のうち、上昇率の大きい10銘柄は図表1の通りです。トップ3は海運業が占めていますが、景気の持ち直しに伴う輸送需要の増加に、コロナによる労働力不足が重なり、運賃が高騰したことなどが背景にあると思われます。また、108銘柄全体では、原油など資源価格の上昇や、「リオープン(経済活動の再開)」に対する期待の高まりなどから、コロナ禍で影響を受けた銘柄の反発が目立ちます。

大台の回復には値がさの反発が必要だが、一段の景気回復と業績改善を期待できる材料待ちに

次に、下落した117銘柄のうち、下落率の大きい10銘柄も図表1の通りです。昨年好調だった情報・通信業などが大きく下げていますが、117銘柄全体でも、コロナの感染拡大が追い風となった銘柄の調整がみられます。なお、検証期間における日経平均株価の変化幅は約2,100円のマイナスでしたが、これに対する寄与額は、上昇した108銘柄が約920円のプラスに対し、下落した117銘柄は約3,020円のマイナスでした。


また、117銘柄のうち、ファーストリテイリングとソフトバンクグループの2銘柄だけで、寄与額は約1,420円のマイナスに達します。したがって、日経平均株価が30,000円台を回復するには、これら調整中の2銘柄を含む値がさ株(図表2)の反発が原動力になると思われますが、そのためには、持続的な世界景気の回復と、国内企業の一段の業績改善を期待できる材料が待たれます。


※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。