2021年6月FOMCレビュー~想定よりもタカ派的

2021年6月17日

●ドットチャートの予想分布が大きく変化し、2023年に0.25%の利上げが2回あることが示唆された。

●メンバーの経済見通しも総じて上方修正、パウエル議長は市場が過度に反応しないようにけん制。

●テーパリングの議論開始は形式上まだ宣言されていないが実質的に今回かなり織り込みが進んだ。

ドットチャートの予想分布が大きく変化し、2023年に0.25%の利上げが2回あることが示唆された

米連邦準備制度理事会(FRB)は、6月15日、16日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、大方の予想通り、ゼロ金利政策および量的緩和の維持を決定しました。しかしながら、今回はいくつかの点で想定よりもかなりタカ派的な会合となり、市場もサプライズと受け止め、大きく反応しました。そこで、以下、重要なポイントを整理しながら確認していきます。


今回の会合が、タカ派的な内容となった要因の1つが、FOMCメンバーが適切と考える「政策金利水準の分布図(ドットチャート)」でした。前回(2021年3月)のドットチャートでは、18人のメンバーのうち、2023年末にゼロ金利政策の解除が適切としたのは7人でしたが、今回は一気に13人に増えました(図表1)。この結果、分布の中央値から、2023年は0.25%の利上げが2回あることが示唆されました。

メンバーの経済見通しも総じて上方修正、パウエル議長は市場が過度に反応しないようにけん制

FOMCメンバーによる経済見通しも改善が確認され、これも今回、市場が早期の金融政策正常化を意識した一因と考えられます。詳細は図表1の通りですが、物価上昇率は2021年から2023年まで、第4四半期における前年同期比の伸び率の見通しが上方修正され、いずれも長期均衡水準を上回る予測値となっています。これらを踏まえると、前述のドットチャートの変化は合理的と思われます。


なお、パウエル議長は会合後の記者会見で、ドットチャートでタカ派的な見通しが示されたことについて、計画や決定ではなく、利上げの議論は時期尚早と述べ、市場が過度に反応しないよう、けん制しました。また、量的緩和の縮小(テーパリング)に関しては、今後の会合で、目標に向けた経済の進展を評価し続け、量的緩和の変更前に事前の通知を行うとの考えを示しました。

テーパリングの議論開始は形式上まだ宣言されていないが実質的に今回かなり織り込みが進んだ

今回のFOMCでは、ドットチャートや経済見通しがタカ派的な内容となり、市場は金融政策の正常化が早まるとの見方にいくらか傾いたように見受けられます。実際、6月16日の米金融市場では、米10年国債利回りが上昇し、米ドルが対主要通貨で増価した結果、ドル円はドル高・円安が進行しました(図表2)。また、ダウ工業株30種平均などの米主要株価指数は、軒並み下落しました。


なお、テーパリングの議論開始について、パウエル議長は明確に言及しておらず、「今回は議論することについて議論する会合」と述べています。また、FOMC声明でも、議論開始についての新たな文言はみられませんでした。そのため、議論開始は形式上、まだ宣言されていないということになりますが、実質的には今回、かなり織り込みが進んだものと思われます。