改めて考えるコロナと景気と株式市場の関係

2020年12月14日

●英国に続き米国でも14日に新型コロナのワクチン接種開始、今後は副作用に関する報道に注意。
●米国では新規感染急増でも半年から1年先の経済活動の正常化を織り込み株価は上昇の動き。
●ワクチンの普及遅延なら正常化シナリオの修正で株価は調整へ、ただ流動性相場が支えになろう。

英国に続き米国でも14日に新型コロナのワクチン接種開始、今後は副作用に関する報道に注意

英国では12月8日、米製薬大手ファイザーと独ビオンテックが開発した新型コロナウイルスのワクチン接種が始まりました。一般に、新しい感染症へのワクチン開発は、5年から10年かかるといわれているため、今回のように開発着手から1年足らずという期間での接種開始は異例のスピードといえます。そのため、金融市場でもワクチンの早期普及に対する期待が大きく膨らみました。

米国でも12月11日、ファイザーとビオンテックが開発したワクチンについて、米食品医薬品局(FDA)が緊急使用を許可しました。この緊急使用の許可は、正式な承認の前段階にあたりますが、これによって米国では14日にもワクチンの接種が始まります。なお、英国では、12月8日に接種を受けた2人に強いアレルギー反応が出たことが確認されており、ワクチンの副作用に関する今後の報道には注意が必要です。

米国では新規感染急増でも半年から1年先の経済活動の正常化を織り込み株価は上昇の動き

一方、コロナの感染拡大の勢いは衰える気配がなく、世界全体の感染者数累計は直近で7,200万人を突破しています(図表1)。最も感染者数の多い米国では、足元で新規感染者数が急増しており(図表2)、夏場の増加が一服した9月12日から12月11日までの間、新規感染者数は約6.2倍になっています。ただ、同期間(起算日は9月11日)で、ダウ工業株30種平均は8.6%上昇、ナスダック総合株価指数は14.0%上昇しました。

これは、株式市場が半年から1年先の景気動向を見越して推移する傾向があるためで、株価の上昇は「今現在起きている感染の急拡大」ではなく、「ワクチンの普及による半年から1年先の経済活動の正常化」を織り込んだものと考えられます。そのため、年末から年明け以降の株式市場は、現在織り込んでいる後者の正常化シナリオについて、その実現性を見極めていくことになります。

ワクチンの普及遅延なら正常化シナリオの修正で株価は調整へ、ただ流動性相場が支えになろう

最も好ましい展開は、「世界的なワクチンの普及→コロナの感染収束→経済活動の正常化→景気と企業業績の回復」であり、この場合、主要国の株式市場で持続的な株高の動きが確認される可能性が高いと思われます。また、景気回復がゆっくりと進めば、12月8日付のレポートで解説した通り、流動性相場のなかで適温相場が形成され、金融相場は業績相場へ移行し、株式市場には最も心地よい環境が整います。

これに対し、懸念すべきは、ワクチンに何らかの問題が発生した場合や、ワクチンの普及が想定以上に遅れた場合です。感染収束の見通しが悪化すれば、株価が織り込む正常化シナリオも修正を余儀なくされるため、株式市場の調整は比較的大きなものになる恐れがあります。ただ、この場合でも、流動性相場と金融相場が続く限り、それらが一定程度、株価の支えになることが見込まれます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。