バイデン次期米政権の有力閣僚候補について

2020年11月18日

●大統領首席補佐官はロン・クレイン氏に、国務長官はアントニー・ブリンケン氏が最有力との見方も。
●財務長官はラエル・ブレイナード氏、国防長官はミシェル・フロノイ氏がそれぞれ最有力視されている。
●司法長官はサリー・イエーツ氏らが有力候補、想定内の顔ぶれならば、市場への影響は限定的か。

大統領首席補佐官はロン・クレイン氏に、国務長官はアントニー・ブリンケン氏が最有力との見方も

市場では、米大統領選で当選を確実にしたバイデン氏の閣僚人事に注目が集まっています。そこで今回のレポートでは、有力閣僚候補の顔ぶれを紹介します(図表1)。まず、ホワイトハウスを取り仕切る「大統領首席補佐官」は、すでにロン・クレイン氏の起用が11月11日に発表されました。同氏はバイデン氏の副大統領時代の首席補佐官で、エボラ出血熱対策や金融危機後の経済対策を主導しており、コロナ対策を念頭に置いた人事とみられます。

次に、「国務長官」の候補には、スーザン・ライス氏(オバマ政権での大統領補佐官などを歴任)、アントニー・ブリンケン氏(元国務副長官)、クリス・クーンズ氏(上院議員)らの名前が挙がっています。この中では、バイデン氏の長年の側近で、今回の大統領選でも外交政策顧問を務めたブリンケン氏を最有力候補とみる向きも多く、また、同氏は国家安全保障担当大統領補佐官の有力候補でもあります。

財務長官はラエル・ブレイナード氏、国防長官はミシェル・フロノイ氏がそれぞれ最有力視されている

「財務長官」は、米連邦準備制度理事会(FRB)理事のラエル・ブレイナード氏が最有力視されています。同氏は金融緩和に積極的なハト派とされていますが、財務次官を務めていた2013年には、日本に円高けん制の口先介入を慎むよう釘を刺した経緯があり、為替市場では「ドル安論者」とみなされています。また、元財務副長官でFRB理事も務めたサラ・ブルーム・ラスキン氏なども候補に挙がっています。

「国防長官」は、元国防次官のミシェル・フロノイ氏が最有力候補と目されています。同氏は、今回の大統領選でバイデン陣営の国防問題アドバイザーを務めました。最近では、中国人民解放軍の能力向上に危機感を示し、米軍に新技術への投資を提言するなど、安全保障の面で対中タカ派と考えられます。また、タミー・ダックワース氏(上院議員)や、ジャック・リード氏(上院軍事委員会の民主党トップ)も有力視されています。

司法長官はサリー・イエーツ氏らが有力候補、想定内の顔ぶれならば、市場への影響は限定的か

「司法長官」の候補には、サリー・イエーツ氏(元司法副長官)、ダグ・ジョーンズ氏(元上院議員)、ハビエラ・ベセラ氏(カリフォルニア州司法長官)らの名前が挙がっています。イエーツ氏は現在、バイデン氏の政権移行チームの諮問委員会メンバーを務めており、次期司法長官に近い候補とされています。また、ベセラ氏は、国土安全保障長官の有力候補でもあります。

国務、財務、国防、司法の重要閣僚については、感謝祭の祝日(11月26日)あたりから人事が公表されていく可能性が高いとみられます。各長官は大統領が指名し、上院が承認しますが、上院は最終的に共和党が過半数議席を占める見通しです。そのため、極端な左派の人物が指名・承認される公算は小さく、前述の顔ぶれからの選出なら、想定の範囲内であり、市場への影響はそれほど大きくないと考えられます。