ワクチン開発進展で相場は強いリスクオンに

2020年11月10日

●ワクチン実用化への動きが確認されたことを好感し、市場は株高、債券安、ドル高・円安の反応に。
●景気敏感銘柄が買われダウ・日経平均は上昇、ハイテク銘柄は売られナスダック・マザーズは下落。
●バリュー株復活のカギは今後のワクチン開発動向、日経平均は買われ過ぎのため、いったん調整も。

ワクチン実用化への動きが確認されたことを好感し、市場は株高、債券安、ドル高・円安の反応に

米製薬大手のファイザーは11月9日、開発中である新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験について、90%を超える予防効果があるとの暫定結果を発表しました。同社は、臨床試験はまだ進行中であり、予防効果の値は今後変わる可能性があるとしながらも、安全性に関するデータがそろう11月第3週以降、米食品医薬品局(FDA)に対し、緊急使用許可を申請するとしています。

ワクチンの実用化に向けた動きが確認されたことを受け、同日の米国市場は、株高・債券安(利回りは上昇)の強いリスクオン(選好)で反応しました。ダウ工業株30種平均は、寄り付き直後に29,933ドル83セントの高値をつけ、大台の30,000ドルに迫りました。また、米10年国債利回りが一時0.97%台まで上昇すると、ドル円もこれに連れ1ドル=105円65銭水準までドル高・円安が進行しました。

景気敏感銘柄が買われダウ・日経平均は上昇、ハイテク銘柄は売られナスダック・マザーズは下落

なお、11月9日の米国株は、ダウ工業株30種平均とS&P500種株価指数は上昇して取引を終えたものの、ハイテク銘柄中心のナスダック総合株価指数は下落して取引を終えました。これは、ワクチン実用化への期待から、これまでコロナの感染拡大が業績の向かい風となっていた金融やエネルギーなどの景気敏感銘柄が買われ、逆に追い風となっていたハイテク銘柄に売りが膨らんだことによるものです。

国内でも同様の動きがみられます。11月10日の日経平均株価は、寄り付きで25,000円台を回復しましたが、朝方は時価総額の大きい自動車や金融の上昇が目立ち、東証株価指数(TOPIX、時価総額加重平均で算出)の上昇率は、日経平均株価(単純平均の考え方に基づき算出)の上昇率を上回りました。また、IT(情報技術)業種を中心に成長銘柄の多い東証マザーズ指数は、寄り付きから大きく下落しました。

バリュー株復活のカギは今後のワクチン開発動向、日経平均は買われ過ぎのため、いったん調整も

ファイザーの報道により、金融などの割安(バリュー)株よりもハイテクなどの成長(グロース)株を選好するこれまでの流れに、変化の兆しが出てきました(図表1)。ワクチンが実用化されれば、コロナの脅威は大きく後退するため、経済活動および金融政策の正常化や金利上昇という、バリュー株に好ましい環境が整いやすくなります。したがって、バリュー株の上昇が持続するか否かは、今後のワクチンの開発動向がカギを握ると考えます。

さて、改めて日経平均株価の動きを確認すると、相場の過熱感を判断するオシレーター系チャートの1つである「RSI(相対力指数)」は、昨日時点で73%でした(図表2)。一般に70%を超えると買われ過ぎとされるため、調整売りが出てもおかしくはない水準です。ただ、今の相場は、金融市場に余剰資金があふれる流動性相場であるため、自律的な調整であれば、下値は支えられやすい状況にあると思われます。