米大統領選直前チェック~選挙結果シナリオ別の相場予想

2020年10月29日

●米経済対策の成立が選挙後となり、選挙結果がすぐ判明した場合は経済対策の規模が焦点に。
●両候補いずれが勝利しても議会との組み合わせで、経済対策を巡る市場の反応は変わる可能性。
●経済対策は短期の反応、中期では公約内容が重要で、長期ではワクチン実用化の成否に注目。

米経済対策の成立が選挙後となり、選挙結果がすぐ判明した場合は経済対策の規模が焦点に

今回のレポートでは、米大統領選の結果に関するシナリオをいくつか想定し、それぞれで相場がどのように反応するかを考えます。なお、足元で焦点となっている米追加経済対策について、成立は選挙後にずれ込む公算が大きくなっているため、選挙後の成立を仮定します。まず、選挙結果がすぐに判明した場合、短期的には追加経済対策の規模が焦点になると思われます。

追加経済対策の規模は、民主党案が2.2兆ドル、トランプ政権案が1.8兆ドル、共和党案が5,000億ドルです。これを踏まえ、大統領の出身政党と、上下院議席の過半数を占める政党との組み合わせで、相場の動きを予想したものが図表1になります。なお、下院では、引き続き民主党が過半数議席を占める可能性がかなり高いため、図表1はそれを反映しています。

両候補いずれが勝利しても議会との組み合わせで、経済対策を巡る市場の反応は変わる可能性

図表1において、バイデン氏勝利で組み合わせ①の場合、追加経済対策については、民主党案である2.2兆ドル規模への期待が高まり、市場のリスクオン(選好)の度合いは相対的に大きくなると思われます。ただ、組み合わせ②の場合、共和党が上院で多数議席を占めるため、追加経済対策の規模は2.2兆ドルを大きく下回り、市場はややリスクオフ(回避)に傾くことが考えられます。

一方、トランプ氏勝利で組み合わせ③の場合、トランプ政権と民主党議会との間に「ねじれ」が生じますが、追加経済対策の規模でトランプ政権が民主党に譲歩することも想定されます。金額が2.2兆ドルをやや下回る程度となれば、リスクオンの度合いは①よりも幾分小さめですむ見通しです。ただ、組み合わせ④の場合は、トランプ政権と議会の関係は今と変わらないことになるため、協議が幾分難航し、リスクオフの度合いは②よりも大きくなる恐れがあります。

経済対策は短期の反応、中期では公約内容が重要で、長期ではワクチン実用化の成否に注目

追加経済対策を巡る市場の反応は短期的なものにとどまり、時間の経過とともに市場の関心は新大統領の公約に移行すると思われます。バイデン氏の公約には、増税やインフラ投資など、強弱両材料が混在しており、トランプ氏の公約にも、減税や対中強硬姿勢を示唆するものなど、強弱両材料が混在しています。中期的な市場の反応は、どれを材料視するか次第であり、スムーズな政策運営は、議会との組み合わせ次第です。

なお、米追加経済対策が選挙前に成立すれば、リスクオンで選挙を迎え、公約と議会の組み合わせがより焦点となります。また、選挙結果の判明が大幅に遅れた場合、市場のリスクオフの度合いは最も大きくなると思われますが、大統領はいずれ決まるため、極端な混乱は避けられるとみています。そして、より長期的には、やはりワクチンの実用化が進み、経済活動が正常化に向かうか否かが、市場に大きな影響を与える要素と考えます。