米大統領選はトリプルブルーの結果となる可能性

2020年10月7日

●トランプ氏、バイデン氏とも公約には強弱両材料あり、どちらが優勢でも株価は単純な反応が困難。
●トランプ氏感染でリスクオフ、退院でリスクオンの反応は、単純に、政治の不透明感によるものとみる。
●トランプ氏による協議停止を受けたリスクオフが限定的ならば、市場はトリプルブルー想定の可能性。

トランプ氏、バイデン氏とも公約には強弱両材料あり、どちらが優勢でも株価は単純な反応が困難

今回のレポートでは、コロナ感染後のトランプ大統領の言動と市場の反応から、米大統領選に関する市場の織り込みを推測します。まず、感染が明らかになった10月2日、株式市場はおおむね株安で反応し、為替市場では円高、ドル高が進行するなど、リスクオフ(回避)の動きが顕著となりました。その後、トランプ氏の早期退院観測が浮上した10月5日は、おおむね株高、円安、ドル安となり、リスクオン(選好)の動きが確認されました。

一見すると、「減税公約のトランプ氏感染→増税公約のバイデン氏有利→株安」、「トランプ氏退院→株高」、と解釈できるように思われます。ただ、トランプ氏再選なら、通商問題などで中国との緊張が一段と高まる恐れがあり、バイデン氏勝利なら、3兆ドル規模のインフラ投資や、制裁関税再考で中国との緊張緩和の可能性があります。つまり、両氏は市場にとって強弱両材料を抱えており、どちらが優勢でも株価は単純に反応しにくいと考えます。

トランプ氏感染でリスクオフ、退院でリスクオンの反応は、単純に、政治の不透明感によるものとみる

では、改めてトランプ氏感染でリスクオフ、退院でリスクオンという背景を検証します。まず、感染でリスクオフというのは、単に政治の不透明感が強まったことによるものと思われます。ただ、トランプ氏が執務不能や出馬断念となった場合でも、その後の手順は明確に規定されており、また、大統領選も憲法が改正されない限り日程は変更されないため、そもそもトランプ氏感染によるリスクオフは、一時的なものと判断できます。

次に、退院でリスクオンについては、政治の不透明感が後退したことに加え、選挙戦で苦戦を強いられているトランプ氏が、巻き返しのため、追加経済対策を打ち出すとの期待が強まったためと推測されます。しかしながら、トランプ氏は10月6日、追加経済対策について、大統領選後まで民主党との協議を止めるよう指示したことを、ツイッターで明らかにしました。これを受けて同日のニューヨーク市場は再びリスクオフで反応しました。

トランプ氏による協議停止を受けたリスクオフが限定的ならば、市場はトリプルブルー想定の可能性

市場には、トランプ氏が巻き返しのため選挙前に追加経済対策を打ち出すとの期待があったと思われますが、トランプ氏は、再選が追加経済対策の条件という方針を示しました。したがって、ここからは、議会選挙の結果が極めて重要となります。大統領選の勝者と議会選挙の多数議席を組み合わせたものが図表1です。バイデン氏が勝利し、上下両院も民主党が制すれば「トリプルブルー」(青色は民主党のシンボルカラー)となります。

最近の世論調査では、その可能性が示唆されており(図表2)、この場合バイデン氏はスムーズに政策を進められるため、民主党案の2.2兆ドル規模の追加経済対策への期待が強まります。そのため、トランプ氏の協議停止を受けたリスクオフが限定的なら、市場はトリプルブルーを想定している可能性が考えられます。なお、トランプ氏再選で、民主党が上下両院を制した場合は、「ねじれ議会」となり、市場に警戒感が強まることも想定されます。