配当権利落ち後の株価に注目
2020年9月28日
●日経225先物の12月限月は現状日経平均株価よりも150円程度低い価格で取引されている。
●差異は配当に起因、12月限月は中間配当受け取り権利がない分、日経平均株価より低価格。
●明日の日経平均株価が150円程度の配当落ちを埋めて上昇すれば地合いは相応に強いとみる。
日経225先物の12月限月は現状日経平均株価よりも150円程度低い価格で取引されている
日経平均株価を原資産とする金融派生商品(デリバティブ)に、日経225先物や、日経225オプションがあります。先物やオプションは、現物と違って取引期間が決められており、取引が満期を迎える月を限月(げんげつ)と呼びます。日経225先物の限月は、3月、6月、9月、12月で、日経225オプションの限月は毎月です。各限月の第2金曜日が満期日となり、この日に算出される特別清算指数(SQ)で取引が決裁されます。
なお、SQ算出日の前日が、先物やオプションの取引最終日となります。例えば日経225先物の9月限月であれば、今月10日が取引最終日、11日がSQ算出日でした(図表1)。日経225先物について、9月限月の取引が終了したため、現在、取引の中心となっているのは、12月限月です。ただ、日経225先物の12月限月と日経平均株価を比較すると、12月限月の方が150円程度、低い価格で取引されていることが分かります(図表2)。
差異は配当に起因、12月限月は中間配当受け取り権利がない分、日経平均株価より低価格
日経225先物の12月限月が、日経平均株価よりも150円程度低いのは、3月期決算企業が予定している9月の中間配当に起因しています。9月は28日が中間配当の権利付き売買最終日となっており、この日までに日経平均株価を構成する中間配当予定の現物株を保有していれば、中間配当を受け取る権利が得られます(図表1)。しかしながら、日経225先物の12月限月を保有していても、中間配当を受け取る権利は得られません。
したがって、日経225先物の12月限月は、中間配当を受け取る権利がない分、日経平均株価よりも投資面での魅力が劣ることになります。なお、日経平均株価について、今年の中間決算における予想配当金は150円程度です。そのため、日経225先物の12月限月については、予想配当金である150円程度が理論値に反映され、日経平均株価よりも低い価格となります。
明日の日経平均株価が150円程度の配当落ちを埋めて上昇すれば地合いは相応に強いとみる
前述の通り、今回は9月28日が中間配当の権利付き売買最終日です。そして、その翌日である29日が権利落ち日、30日が権利確定日となります。権利落ち日以降は、権利確定日を待たずに現物株を売却しても、配当を受け取ることができます。一般に、権利付き売買最終日までは、投資家による配当狙いの買いや、配当で受け取る金額を見越してあらかじめ先物を買っておく動きが活発化し、株価は底堅く推移する傾向があります。
そのため、注目は権利落ち日である9月29日の日経平均株価の動向です。日経平均株価は、中間配当要因の消滅(配当落ち)で、理論上、12月限月の価格に近づきます。同日の日経平均株価が、予想配当金である150円程度を超えて大きく下落すれば、これまでの底堅い動きは配当狙いの一時的なものと考えられる一方、配当落ち分を埋めることができれば、相場の地合いは相応に強いと考えられます。