2020年4-6月期決算の注目ポイント
2020年7月17日
●4-6月期決算に市場の関心が集まるが、一足先に決算を終えた小売や外食は総じて厳しい内容。
●米決算にも要注目、ハイテク銘柄が米国株式市場を牽引する流れが続けば、日本株にも好材料。
●コロナとの共存を前提に決算ではどのような方法で事業を伸ばしていくかの見極めが重要なポイント。
4-6月期決算に市場の関心が集まるが、一足先に決算を終えた小売や外食は総じて厳しい内容
日本では、3月期決算企業による4-6月期の決算発表が、今月下旬から本格化します。東証1部上場企業のうち、2020年度(2020年4月〜2021年3月)の業績予想を公表した企業は、5月16日時点で4割程度にとどまり、減収減益の予想も目立っていました。そのため、今回の4-6月期決算では、業績の先行きに関する手掛かりがどの程度示されるか、市場の注目が集まっています。
なお、小売や外食は、一足先に3-5月期の決算を終えましたが、総じて厳しい内容となりました。新型コロナウイルスの感染を懸念し、外出を減らす消費者が増えたことなどから、ファーストリテイリング、イオン、J・フロントリテイリングなどは、3-5月期に最終赤字となりました。一方、小売ではニトリの安定した業績が目立ち、ドラッグストアではウエルシアホールディングスなどが衛生用品の需要急増の追い風を受けました。
米決算にも要注目、ハイテク銘柄が米国株式市場を牽引する流れが続けば、日本株にも好材料
なお、米国では、すでに4-6月期の決算発表が始まっていますが、米企業の業績動向を把握しておくことは、日本企業の業績を見通す上では非常に大切です。昨日までで、米金融大手6社の決算が出そろいました。全体として、貸倒引当金(融資の焦げ付きに備えた費用の計上)の大幅な積み増しが利益の減少要因となる一方、市場の急変で取引が活発化し、投資銀行業務は堅調となるなど、やはりコロナの影響がうかがえます。
来週に決算発表を予定している主な米企業は、テキサス・インスツルメンツ(21日、現地時間、以下同じ)、テスラとマイクロソフト(22日)、ツイッターとインテル(23日)などです(図表1)。また、翌週の29日にはフェィスブック、30日にはアップル、アマゾン、グーグルの持株会社アルファベットの決算が予定されています。決算を経て、ハイテク銘柄が米国株式市場を牽引する流れが継続すれば、日本株にも好材料です。
コロナとの共存を前提に決算ではどのような方法で事業を伸ばしていくかの見極めが重要なポイント
日本について、来週21日に日本電産とディスコが決算発表を予定しています。翌週の28日にはファナックや東京エレクトロン、29日はSCREENホールディングス、30日はパナソニック、TDK、アドバンテスト、31日は村田製作所、ローム、キーエンスの決算発表が控えています。この週で、半導体製造装置、電気、電子部品、機械などの大手の業績が確認されることになります。
今回の4-6月期決算で、2020年度の業績予想を公表する企業が、どの程度増えるかは不明ですが、基本的には経営陣のコメントなどから、先行きの業績に関する見方を探ることになると思われます。特に、新型コロナウイルスと共存していくことを前提とした場合、具対的にどのような方法で、これからの事業を伸ばしていくのか(事業の選択と集中、統合や整理など)を見極めることが重要なポイントとなります。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。