スーパーチューズデーの結果と米大統領選の行方
2020年3月5日
●今回は、中道派のバイデン氏とブルームバーグ氏、リベラル派のサンダース氏の争いに注目が集まる。
●劣勢予想だったバイデン氏は、10州で勝利の見通しとなり躍進、ブルームバーグ氏は撤退を表明。
●バイデン氏の政策の方が市場に好感されやすいようだが、次の山場となる3月10日と17日に注目。
今回は、中道派のバイデン氏とブルームバーグ氏、リベラル派のサンダース氏の争いに注目が集まる
米国では3月3日に「スーパーチューズデー」を迎え、民主党大統領候補を選ぶ予備選挙・党員集会が全米14州・1地域で一斉に行われました。すでに撤退を決めたブティジェッジ前サウスベンド市長とクロブシャー上院議員がバイデン前副大統領の支持を表明したことから、中道派の候補は、バイデン氏と今回から本格参戦となるブルームバーグ元ニューヨーク市長の2人に絞られました。
一方、リベラル派の候補について、直近の調査では、サンダース上院議員の支持率が26.7%と、ウォーレン上院議員の11.7%を大きく上回っています(図表1)。そのため、今回のスーパーチューズデーでは、中道派のバイデン氏とブルームバーグ氏、リベラル派のサンダース氏の争いが注目され、民主党の大統領候補がどの程度絞り込まれるかが、大きな焦点となっていました。
劣勢予想だったバイデン氏は、10州で勝利の見通しとなり躍進、ブルームバーグ氏は撤退を表明
なお、民主党の各候補は、州ごとに行われる予備選挙や党員集会での得票率に応じ、比例配分で代議員が割り当てられます。一般代議員の総数3,979人のうち、過半数となる1,991人以上を獲得した候補が、7月13日からの民主党全国大会で大統領候補の指名を受けることになります。スーパーチューズデー前の4州で獲得した代議員数は、サンダース氏が60人、バイデン氏が54人でした。
開票の結果、バイデン氏が10州、サンダース氏が4州でそれぞれ勝利し、代議員獲得数でバイデン氏がトップに躍り出ました(図表2)。バイデン氏は、事前調査で劣勢が予想されていましたが、ブティジェッジ氏とクロブシャー氏の支持を取り付けたことが、今回の躍進につながったとみられます。なお、支持拡大に苦戦したブルームバーグ氏は4日に指名争いから撤退し、バイデン氏を支持すると表明しました。
バイデン氏の政策の方が市場に好感されやすいようだが、次の山場となる3月10日と17日に注目
スーパーチューズデーの結果、民主党候補はバイデン氏とサンダース氏の2名に絞り込まれました。なお、バイデン氏の主な政策は、公的保険の拡充、連邦法人税率の引き上げ(21%から28%)、富裕層向け資産譲渡課税の引き上げ、環太平洋経済連携協定(TPP)の再交渉などです。一方、サンダース氏は、国民皆保険制度の導入、連邦法人税率の引き上げ(21%から35%)、富裕層への課税、TPPは反対などが主な政策です。
そのため、米国株式市場にとってはバイデン氏の政策の方が相対的に好ましく、実際、バイデン氏の躍進も一因となり、4日の米国株は大きく上昇しました。予備選挙・党員集会の次の山場は、3月10日(ミシガン州など6州)と17日(フロリダ州など4州)です。バイデン氏とサンダース氏の指名争いが長期化するか、あるいは、どちらかが早々に抜け出すかを見極める上で、ここでの代議員獲得数が注目されます。