国内10連休を控えた市場の注意点

2019年4月23日

●連休中は海外株式市場の動向に注意、CMEの日経先物の動きは連休後の株価水準の参考に。
●ドル円のフラッシュ・クラッシュは懸念材料、5月1日の日本時間の日中はかなり閑散となる可能性。
●ただしフラッシュ・クラッシュに過度な警戒は不要、連休中は米中景況感の改善度合いなどに注目。

連休中は海外株式市場の動向に注意、CMEの日経先物の動きは連休後の株価水準の参考に

日本では4月27日から10連休が始まります。日本株については、東京証券取引所や大阪取引所などが休業となるため、これら取引所を通じた個別株や先物、オプションの売買はできなくなります。年金や投資信託の日本株運用担当者は、一般に連休を理由に保有銘柄を極端に減らすことはありませんが、海外のヘッジファンドや国内証券会社の自己勘定などは、先物を使って事前にリスクを軽減しておくことは可能です。

従って、連休直前の日本株市場は、よほど突発的な材料が浮上しない限り、動意の乏しい展開が予想されます。ただ、連休中は海外で重要イベントが控えており(図表1)、主要国の株価動向には注意が必要です。なお、米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)に上場されている日経225先物は、連休中でも取引されているため、連休後の日経平均株価の水準をみる上で参考になります。

ドル円のフラッシュ・クラッシュは懸念材料、5月1日の日本時間の日中はかなり閑散となる可能性

為替については、日本が休場でも他の市場でドル円の取引は可能です。ただ、円の主要取引主体である日本勢が不在であることから、ドル円の取引量は通常よりもかなり減少します。そのため、国内輸出企業などの実需筋は、日本が連休の場合は、一般に早い段階でドル売り・円買いの為替予約を締結する傾向があり、また、投機筋なども、連休前には円ポジションを整理しておくケースが多いと思われます。

以上より、ドル円相場も連休直前は、よほど突発的な材料が浮上しない限り、小動きとなりやすく、また、連休中も敢えてドル円の取引を望む向きは少ないとみられます。なお、市場の商いが薄くなると、「フラッシュ・クラッシュ(相場の瞬時の急変動)」の発生が懸念されます。図表2は外国為替取引の時間帯の目安ですが、5月1日は香港、シンガポールも休場となるため、日本時間では朝方だけでなく日中もかなり閑散になると考えられます。

ただしフラッシュ・クラッシュに過度な警戒は不要、連休中は米中景況感の改善度合いなどに注目

フラッシュ・クラッシュで思い出されるのは、年初のドル円の動きです。1月3日の日本時間午前7時半過ぎ、108円台後半で推移していたドル円は、わずか数分で104円87銭水準までドル安・円高が進みました。ただ、フラッシュ・クラッシュは、ファンダメンタルズとは無関係の一時的な動きであり、相場のトレンドを生み出すようなものではありません。短期的なポジションを持っていない限り、過度な警戒は不要と考えます。

さて、改めて図表1に目を向けると、一連のイベントで確認すべきは、①米中景況感の改善度合い、②米連邦公開市場委員会(FOMC)での政策スタンス、③米ハイテク企業の業績見通し、の3点です。仮に、①は緩やかな改善、②はハト派姿勢維持、③は企業の積極姿勢、が確認されれば、連休後の日本株市場にとって安心材料になるため、各イベントの慎重な見極めが必要です。