対照的な外需関連業種と内需関連業種の動き
2019年4月18日
●新年度入り後は外需関連業種が好パフォーマンスを示す一方で、内需関連業種は低調な動きに。
●これは外需への投資比率を引き上げ内需を引き下げるセクターローテーションによるものと思われる。
●外需関連業種の株高の持続力を高めるには決算でEPSの底打ちにつながる材料の確認が必要。
新年度入り後は外需関連業種が好パフォーマンスを示す一方で、内需関連業種は低調な動きに
一般に、海外事業や輸出取引からの収益が柱となっている企業の株式を「外需関連株」といいます。代表的な業種としては、「輸送用機器」、「電気機器」、「精密機器」、「機械」などがあります。これに対し、主な事業基盤が国内にある企業の株式を「内需関連株」といいます。代表的な業種としては、「銀行業」、「情報・通信業」、「建設業」、「不動産業」などがあります。
このような特徴から、海外の景気が好調な局面では、外需関連業種が選好され、国内の景気が好調な局面では、内需関連業種が選好されやすい傾向があります。そこで、新年度入り後の東証33業種指数の動きを確認すると、東証株価指数(TOPIX)のパフォーマンスを上回った17業種のうち半数以上が外需関連業種で、下回った16業種のうち、半数以上が内需関連業種となっています(図表1)。
これは外需への投資比率を引き上げ内需を引き下げるセクターローテーションによるものと思われる
図表1において、新年度入り後の上昇率が大きい上位の業種には外需関連が目立ちます。外需関連業種は、世界景気の先行き懸念が強まった2018年10-12月期、大きく売られた経緯があり、特に「海運業」、「電気機器」、「機械」などは、20%以上下落しました。この時、外需関連業種への投資比率を引き下げ、内需関連業種を引き上げた運用担当者も多かったとみられます。
改めて図表1をみると、下落率が大きい上位の業種には内需関連が目立ち、外需と内需では、極めて対照的な動きにあることが分かります。これは恐らく、新年度入りに伴う運用担当者の「セクターローテーション」によるものと推測されます。つまり、これまで引き下げていた外需関連業種への投資比率を引き上げ、引き上げていた内需関連業種を引き下げるというものです。
外需関連業種の株高の持続力を高めるには決算でEPSの底打ちにつながる材料の確認が必要
外需関連業種を選好するセクターローテーションの背景には、米中の企業景況感の改善や、米中通商協議の継続などを受け、世界景気に対する悲観論が徐々に後退し始めたことがあると考えます。ただし、セクターローテーションだけでは、株式への投資資金が内需から外需へ移動したに過ぎませんので、株価指数全体を大きく押し上げるには、やや力不足です。
外需関連業種である輸送用機器、電気機器、機械の12カ月先1株あたり予想利益(EPS)は低下傾向にあり、まだ底打ちと判断するには幾分早い状況です(図表2)。ただ、株価はEPSの底打ちに先んじて上昇することもあるため、これら業種の株価が足元で上昇していることについて、特段違和感はありません。それでも、株高の持続力を高めるには、今月下旬から本格化する国内企業の決算発表で、EPSの底打ちにつながるような材料の確認が必要と思われます。