【No.639】決算発表後の景気敏感株の動き
2019年2月20日
●決算発表後、半導体関連は主要7社中5社、電子部品は主要7社中6社の株価が足元で上昇。
●FA・工作機械2社、建機2社も足元で株価が上昇、個々の企業では「あく抜け」の動きがみられる。
●ただ、日本株全体が上昇基調を回復するにはいくつかの条件が必要で、今しばらく時間を要しよう。
決算発表後、半導体関連は主要7社中5社、電子部品は主要7社中6社の株価が足元で上昇
今回は、半導体関連、電子部品、工場自動化(FA)・工作機械、建設機械の主要企業について、決算発表後の株価動向を確認します。まず半導体関連では、主要7社のうち決算発表直後に株価が下落したのは、SCREENホールディングス、東京エレクトロン、東京精密の3社でした(図表1)。ただ、2月18日までには東京エレクトロンの株価が上昇に転じ、その結果、半導体関連の主要7社中5社の株価騰落率がプラスとなっています。
電子部品では、7社のうちTDKと村田製作所の2社を除く5社の株価が決算発表直後に下落しました(ただし日本電産は通期業績予想を下方修正した1月17日と翌18日で騰落率を計算)。しかしながら、2月18日までには、5社のうち日東電工を除く4社の株価がプラス圏に浮上しました。その結果、電子部品の主要7社中6社の株価騰落率がプラスで推移しています。
FA・工作機械2社、建機2社も足元で株価が上昇、個々の企業では「あく抜け」の動きがみられる
次にFA・工作機械では、安川電機、ファナックともに、決算発表直後の株価は上昇しており、また、2月18日までの株価騰落率はプラスとなっています。建設機械については、決算発表直後、日立建機の株価は上昇、小松製作所の株価は下落という反応になりました。しかしながら、2月18日までには小松製作所の株価が幾分戻り、その結果、建設機械は2社とも株価騰落率がプラスで推移しています。
3月期決算企業の2018年4-12月期決算では、中国景気の減速やスマートフォン(スマホ)需要の減退などの影響が、想定の範囲内だったとはいえ、顕著にみられました。そのため、今回の企業決算は、日経平均株価など指数全体を押し上げるほどの材料にはなりませんでした。しかしながら、図表1の通り、個別企業においては、悪材料出尽くしで株価が上昇に転じる「あく抜け」の動きが確認されます。
ただ、日本株全体が上昇基調を回復するにはいくつかの条件が必要で、今しばらく時間を要しよう
海外要因に目を向けると、主な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が年初から直近まで約17%上昇していることや、米アップルの株価も年初から戻り基調にあることは、半導体関連や電子部品の株価には追い風です。また、先週から米中貿易協議の進展期待が市場で急速に広がっており、これも総じて景気敏感株には好材料です。
昨年末の株式市場では世界的な景気減速への強い懸念が見られましたが、現在は行き過ぎた悲観論に修正が入り、一部景気敏感株の上昇につながっていると考えます。この先、日本株全体が明確な上昇基調を回復するには、①米中協議が構造問題で決裂の方向に進まないこと、②英国の欧州連合(EU)離脱が「合意あり」で着地すること、③米中の景気後退回避が経済指標で確認されること、などが必要と思われ、今しばらく時間を要するとみています。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。