【No.601】12月の重要イベントを整理する
2018年11月29日
●1日の米中首脳会談は中国の譲歩と米国の対処、6日のOPEC総会は産油量の調整が焦点に。
●7日の米暫定予算期限はトランプ米大統領の判断、11日の英議会は離脱関連案採決に注目。
●日本株は14日のSQ絡みの動きに注意、18日、19日のFOMCではドットチャートへの関心が高い。
1日の米中首脳会談は中国の譲歩と米国の対処、6日のOPEC総会は産油量の調整が焦点に
今回のレポートでは、12月の重要イベントをいくつか列挙し、それぞれのポイントについて整理します(図表1)。日付順にみていくと、12月1日に米中首脳会談が開催されます。「中国製造2025」を巡る両国の見解が一致することは困難と思われますが、それ以外の市場開放などで、どの程度中国が譲歩し、それに米国が制裁緩和で応えるかが焦点です。すでに市場では、今回の会談で何らかの進展がみられるとの期待が広がっています。
12月6日には石油輸出国機構(OPEC)総会が開催されます。米国は11月5日、イランへの経済制裁第2弾を発動しましたが、イラン産原油の禁輸について、日本を含む8カ国・地域に適用除外を認めました。これが、需給悪化観測につながり、原油安が加速したとみられます。今回のOPEC総会で、適切な産油量の調整方針が示されれば、需給悪化懸念が後退し、原油安傾向に歯止めが掛かると思われます。
7日の米暫定予算期限はトランプ米大統領の判断、11日の英議会は離脱関連案採決に注目
米国では、12月7日に暫定予算の期限を迎えます。2019会計年度は10月1日から始まっていますが、トランプ米大統領が「国境の壁」建設に予算計上が必要と主張しているため、予算の成立は一部にとどまっています。12月7日までに歳出予算法案か、新たな暫定予算が成立しない限り、政府機関の一部は閉鎖となります。ねじれ議会では国境の壁の予算計上は困難であり、トランプ米大統領がどこまで予算計上にこだわるかが注目されます。
英国では、12月11日に離脱協定案と政治宣言案の審議と採決が議会で行われます。可決の場合、欧州連合(EU)と「合意あり」の離脱という形になり、英国は2019年3月29日にEUから離脱します(移行期間は2020年末まで)。一方、否決の場合、「合意なし」の離脱リスクが高まり、市場の混乱が予想されます。否決の場合、政府は21日以内に新しい案を議会に提出するため、新案で可決とみる向きは多いのですが、不確実性は残ります。
日本株は14日のSQ絡みの動きに注意、18日、19日のFOMCではドットチャートへの関心が高い
日本では、12月に満期を迎える先物取引やオプション取引(日経225先物や日経225オプションなど)が、12月14日に算出される特別清算指数(SQ)で決済されます。投資家は取引最終日(SQ算出日の前営業日、すなわち12月13日)までに、ポジションをどうするかの判断を迫られるため、SQ前に株価の変動率が上昇する傾向があります。また、ソフトバンクの新規上場に伴い、株式申し込み期間(12月11日から14日)に換金売りが集中すれば、SQ前と重なることで一時的に日本株の下げ幅が大きくなることも予想されます。
12月18日、19日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。利上げはほぼ織り込み済みですが、来年以降の利上げペースを見通す上で、FOMCメンバーが適切と考える政策金利水準の分布(ドットチャート)が注目されます。最近、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長など、複数のFRB高官からハト派的発言が目立っており、ドットチャートもそれを反映する内容となれば、株式市場には好材料となる可能性があります。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。