日本企業の4-9月期決算動向
2017年11月13日
●総じて「外需好調・内需低調」、伸び悩み業種を物色する動きもあり、投資意欲の強さが窺える。
●TOPIXや日経平均の上昇に寄与した銘柄は、電気機器、輸送用機器、化学などの業種が多い。
●好決算の主力株が素直に買われており、今年度二桁増益という弊社の見通しに概ね沿った展開。
総じて「外需好調・内需低調」、伸び悩み業種を物色する動きもあり、投資意欲の強さが窺える
日本企業の2017年4-9月期の決算発表は今週には一巡します。そこで今回は、決算を通じた東証33業種の動きを整理します。東証33業種について、決算発表が本格化する前から足元までの騰落率をみると、「鉱業」、「電気機器」、「海運業」などが大きく上昇する一方、「水産・農林業」、「その他金融業」、「食料品」などは伸び悩んでいます(図表1の左図)。総じてみれば、「外需好調・内需低調」という傾向が窺えます。
なお、前回の4-6月期決算発表後、東証株価指数(TOPIX)をアンダーパフォームしていた「化学」や「情報・通信業」に加え、新年度入り後からTOPIXをアンダーパフォームし続けていた「パルプ・紙」、「ガラス・土石製品」、「金属製品」が、今回はそろってアウトパフォームに転じました。10月19日付レポートで指摘したように、このような物色の動きは、日本株への強い投資意欲の証左と考えます。
TOPIXや日経平均の上昇に寄与した銘柄は、電気機器、輸送用機器、化学などの業種が多い
同じく、決算発表が本格化する前から足元までの期間において、TOPIXは5.5%、94.23ポイント上昇しました。そこで、TOPIXを押し上げた銘柄を検証してみます。TOPIXの上昇に対し、寄与度の大きかった20銘柄をまとめたものが図表1の中央図です。この20銘柄で、TOPIXの94.23ポイント上昇分の37.70ポイントを占めます。20銘柄を業種別にみると、電気機器8銘柄、輸送用機器3銘柄、機械3銘柄、化学2銘柄などとなっています。
同様に、日経平均株価を押し上げた銘柄を検証してみます。同期間において、日経平均株価は7.4%、1,577円70銭上昇しました。この上昇に対し、寄与度の大きかった20銘柄は図表1の右図の通りで、1,577円70銭上昇分の987円81銭を占めます。20銘柄を業種別にみると、電気機器9銘柄、輸送用機器3銘柄、化学3銘柄、情報・通信業2銘柄などとなっています。
好決算の主力株が素直に買われており、今年度二桁増益という弊社の見通しに概ね沿った展開
なお、TOPIXと日経平均株価いずれの上昇にも寄与したのは、信越化学工業、ダイキン工業、ソニー、デンソー、ファナック、京セラ、日東電工、本田技研工業、キャノン、東京エレクトロンの10銘柄です。このうち、信越化学工業を除く7銘柄は通期の売上高と営業利益の見通しを上方修正しました。信越化学工業はいずれの見通しも据え置きましたが、2017年7-9月期の営業利益は市場予想を上回りました。つまり、好決算の主力大型株や値がさ株が、日本株を大きく押し上げたことになります。
弊社は9月時点で、調査対象のコアリサーチ・ユニバース224銘柄(除く金融)について、2017年度の営業利益を前年度比+14.3%、経常利益を同+15.1%と予想しています。前提となる為替レートはドル円が1ドル=110円、ユーロ円が1ユーロ=130円です。増益寄与が大きい業種として、東証33業種分類では、卸売業、電気機器、情報・通信業などを見込んでおり、今のところ概ね見通しに沿った展開と考えています。なお、企業業績の新たな見通しは12月に公表予定です。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。