米国経済と株式市場の重要テーマを整理
金融面は懸念に及ばず、税制や景気対策の進展がカギ【デイリー】

2017年9月27日

【ポイント1】金融政策は節目を迎える

量的緩和縮小と利上げを切り離し

■米連邦準備制度理事会(FRB)は9月20日の公開市場委員会(FOMC)において、10月から保有する債券残高を減らし始めることを決定しました。金融市場は大きな混乱もなく、今のところ落ち着いた推移となっています。

■その要因の1つとして、量的緩和の縮小が政策金利の引き上げ期待に繋がっていないことが挙げられます。量的緩和の前回の節目は2013年で、当時は市場が混乱しました。その時は、5月22日にバーナンキ議長(当時)が、数カ月以内に債券購入額を減額する可能性に言及したことで、市場では「政策金利も間もなく引き上げられる」との見方が急速に強まりました。

■しかし、今年は、FRBが4月5日発表の議事録で年内のバランスシート縮小開始を示唆した後も、先物市場が予想する将来の政策金利のレベルがむしろ低下するなど、利上げ期待は弱まっています。FRBが、量的緩和の縮小に動く一方、政策金利は相当期間低水準で推移する、というフォワードガイダンス(金融政策の方向性を示す指針)を示しているためです。

■FRBが今後の利上げに対して慎重なスタンスをとる背景として、低インフレが続く可能性を無視できない点も挙げられます。9月のFOMCでは、多くのメンバーが引き続き12月の利上げを支持しているとして注目を集めましたが、インフレ率のデータが停滞を続けるようであれば、利上げが先送りされる可能性は十分にあり得ます。

【ポイント2】流動性も潤沢な状態が続く

2018年の金融環境は総じて安定

■短期金利が低位に止まる可能性が高いことに加え、金融市場に存在する資金量が高水準を続ける公算も大きいと考えられます。FRBの資産規模は、現状では約4.5兆ドルに膨らんでいます。FRBはこれを最終的にどこまで縮小させるかは正式には決定していませんが、3-4年かけて約3兆ドル前後に戻す方針と見られます。これは、危機後に増やした約3.6兆ドルのうち、4割程度を吸収するに止めるということを意味しており、流動性は潤沢な状況が続くと考えられます。

■こうした点を踏まえると、少なくとも2018年にかけては、長期金利の上昇は緩やかなものに止まり、グローバルに資金が潤沢な状況が続く可能性が高く、総じて安定した金融環境が見込まれます。

【今後の展開】税制改革、景気対策の進展がカギ

■米国経済は今後も年率2%前後の成長が続きそうです。ハリケーンの影響でGDP成長率に悪影響が出そうですが、2018年にはそれを取り戻すと予想されます。

■ただ、10月から年末にかけては、政治イベントが続くことに注意が必要です。北朝鮮問題では、米国による外交圧力の強化と北朝鮮との挑発合戦が繰り返されそうです。ただ、北朝鮮に核保有を容認したり、全面的な武力行使となる可能性は低いと思われます。

■一方、米財政問題はハリケーンによる被害発生を受けて、12月8日までの暫定予算が合意され、政府閉鎖のリスクは先送りされました。今後は、トランプ政権と与党共和党が税制改革と景気対策をまとめられるかどうかが焦点になると思われます。

■具体的な道筋はなお不透明ですが、税制改正、景気対策に対する金融市場の期待値は既に低いと思われます。膠着状態が続いた場合の影響は限定的である一方、逆に進展があった場合は、ドル・金利・株価の上昇要因になると思われます。

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