最近の米国の債券市場
長期金利は一進一退の推移となる見通し 【デイリー】
2017年2月16日
【ポイント1】国債利回りは比較的小動き
年明け後は大きな波乱材料なし
■米国10年国債利回りは、2016年11月の大統領選でトランプ氏が勝利したため、公約の財政支出拡大や減税による景気回復期待を織り込み、12月中旬までは上昇しました。その後は年明けにかけて一旦低下し、足元では一進一退で推移しています。財政拡大や減税実施には時間がかかる見通しで、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げも緩やかなペースとなるとの見方などが、その背景です。
■直近2月15日の10年国債利回りは2.49%となり、昨年末の2.44%と概ね同水準となっています。

【ポイント2】社債は堅調に推移

国債との利回り格差は一段と縮小
■景気回復や順調な企業業績に加え、物価上昇率も落ち着いて推移しています。また、世界経済・政治情勢や金融市場に大きな波乱がなく、リスク回避の動きも起っていないことなどから、社債スプレッド(国債と社債の利回り格差)は縮小傾向を辿りました。
■2017年以降でみると、債券の中では、最も利回りの高いハイイールド債券が良好な成績となっています。
【今後の展開】国債利回りは一進一退継続へ
■政府による大規模な財政支出拡大や減税などが早期に決まるようであれば、国債利回りには上昇圧力がかかることが考えられます。しかし、トランプ大統領が公約したような大規模な景気刺激策には米国議会での審議長期化も予想され、加えて、FRBによる利上げ速度も緩やかと見込まれるなか、金利は一進一退での推移になる見通しです。社債については、相対的に高水準の利子収入が得られる資産として人気が高く、引き続き資金流入が続く見込みです。