米国の債券市場(2016年5月)
引き続き活況が見込まれる社債市場 【デイリー】
2016年5月11日
【ポイント1】国債利回りは上昇

リスク回避の動きが後退
■4月の米国10年債利回りは、上昇しました。月初に公表されたISM景況感指数や雇用統計などの指標が米国景気の堅調な拡大を示す内容だったことなどを受けて、リスク回避の動きが後退したためです。
■4月25日~26日に開催された米連邦公開市場委員会では、政策金利が据え置かれましたが、声明文の内容が緩やかな利上げを示唆するものだったため、月末にかけて利回りは低下しました。結局、4月末の10年債利回りは1.83%となり、前月末に比べ0.07%ポイントの上昇となりました。
【ポイント2】社債スプレッドは縮小

投資適格社債の発行が拡大
■米社債スプレッド(国債と社債の利回り差)は、縮小しました。原油価格など資源価格が上昇したことに加え、緩和的な金融環境が持続するとの見方が強まり、社債に対する需要が高まったためです。
■5月の投資適格社債の起債は活況です。特に9日は、10本で250億ドルの起債がありました。1日の発行額としては、2006年以降で4番目の規模となりました。
【今後の展開】社債市場の活況は続く見通し
■ISM指数や雇用統計は、堅調に推移しています。米国の景気が拡大基調にあることを示唆するものです。米連邦準備制度理事会は、2016年も利上げを継続すると予想されます。
■もっとも、物価や賃金上昇率が比較的低い水準に止まっていることを踏まえると、利上げの速度は緩慢となる見込みです。企業収益の拡大も見込まれることから、社債市場の活況は今後も続く見通しです。