米国の雇用統計(2016年4月)
労働市場は改善基調を持続 【デイリー】
2016年5月9日
【ポイント1】雇用者数は16.0万人増

天候など一時的要因が下押し
■2016年4月の非農業部門雇用者数は前月比+16.0万人の増加となり、市場予想(ブルームバーグ集計)の同+20.0万人増を下回りました。
■製造業が3カ月ぶりの増加となったものの、小売業が減少に転じたうえ、建設業の増勢が鈍化したためです。小売業は暦要因(イースター休暇が今年は3月だった)、建設業は天候要因(暖冬の影響で1~3月の雇用が上振れした反動)といった一時的な要因の影響もあったと見られます。
■雇用の増加ペースは、3カ月移動平均で+20.0万人と、+20万人の水準を維持しています。
【ポイント2】失業率は5.0%

賃金上昇率は前年比+2.5%
■失業率は前月比横這いの5.0%でした。米国の労働市場は、ほぼ完全雇用の状態にあると考えられます。一方、失業者のうち、より条件の良い他の職に就くなど自発的な理由で離職した、いわゆる自発的離職者の割合も、前月の10.5%から10.7%に上昇しました。
■賃金上昇率は前月比+0.3%、前年同月比+2.5%となりました。労働需給が改善を続けているため、賃金上昇率は今後、底堅く推移すると考えられます。
【今後の展開】景気拡大が続くが、金利の上昇は限られたものとなる見込み
■4月の堅調なISM景況感指数と合わせると、米国の経済は緩やかな拡大基調を維持していると考えられます。もっとも、物価や賃金上昇率が比較的低い水準にあるため、利上げは続きますが、そのペースは緩慢と予想されます。緩やかな景気拡大と落ち着いた金利は、株価上昇の支援材料になりそうです。