米国のGDP成長率(2016年1-3月期速報値)
成長率は鈍化するも、今後、景気は持ち直しへ 【デイリー】
2016年5月2日
【ポイント1】成長率は前期に比べ鈍化

設備投資、在庫投資が減少
■米商務省が4月28日に公表した2016年1-3月期の実質GDP成長率(速報値)は、前期比年率+0.5%にとどまりました。前期の+1.4%はもとより、市場予想の+0.7%も下回りました。
■住宅投資は好調を維持したものの、個人消費、設備投資、在庫投資、純輸出が低調だったためです。
【ポイント2】原油安が投資を下押し
住宅投資は好調を維持
■需要項目別に見ると、個人消費は前期比年率+1.9%にとどまりました。自動車販売の落ち込みによるものです。ただ、雇用・所得の順調な拡大を踏まえると、鈍化は一時的なものと考えられます。
■設備投資は同▲5.9%となりました。2四半期連続の減少です。原油価格下落の影響でエネルギー関連の投資が縮小したためです。他方、住宅投資は同+6.1%と堅調でした。
■在庫投資、純輸出の寄与度は、ともに▲0.3%でした。在庫投資は昨年前半の在庫積み増しの反動、純輸出はドル高や新興国の景気減速によるものと考えられます。
【今後の展開】景気は持ち直す見通し、株価はこれを織り込む展開へ
■米国の景気は、今後、持ち直す見込みです。良好な雇用環境を背景とする個人消費の増勢加速に加え、資源価格の下げ止まりなどから設備投資の復調が期待されるためです。景気の拡大基調が崩れたわけではなく、利上げは継続される見通しです。
■ただし、物価が安定しているため、利上げの速度は緩やかなものになると予想されます。米国の株価は最高値付近で足踏みしていますが、今後は景気の持ち直し、企業収益の拡大を織り込む展開になると考えられます。