2016年の米国経済の見通し 個人消費主導の緩やかな景気拡大へ【デイリー】
2015年12月29日
【ポイント1】2015年は緩やかな成長
個人消費など内需がけん引
■2015年の米国経済は、悪天候や港湾スト、中国の人民元切り下げを契機とする世界的な金融市場の混乱などにより鈍化する局面もありましたが、年間では+2.5%程度の成長となる見込みです。
■ドル高などの影響で輸出は伸び悩んだものの、良好な雇用・所得環境を背景に、個人消費や住宅投資といった内需が堅調に推移しました。
■物価上昇率は、ドル高による輸入価格の下落などから、連邦準備制度理事会(FRB)の目標値である+2%を下回る水準で推移しました。

【ポイント2】2016年も順調に拡大へ
物価上昇率は安定の見込み
■米国では、生産の拡大が雇用、所得の増加を通じて個人消費を押し上げ、それが再び生産の増大を促すという、プラスの循環が維持されています。このため、2016年も+2%台半ばと、15年とほぼ同程度の成長が見込まれます。景気の拡大ペースが引き続き緩やかなことから、物価上昇率は落ち着いた推移が見込まれます。
■リスク要因としては、海外、特に新興国の経済、原油価格の動向などが挙げられます。これらの動向には注意が必要です。

【今後の展開】利上げは緩やかなペースとなる見通し
■FRBは、15年12月に政策金利を0.25%引き上げ、誘導レンジを0.25%~0.50%としました。景気、雇用の改善が持続していることから、16年も引き続き利上げが実施される見通しです。
■ただし、物価が低位で安定していることを踏まえると、利上げの速度は緩やかなものになる見込みです。16年は0.75%~1.00%へと、0.25%ずつ2回程度の利上げが行われると予想されます。