米国の雇用統計(2015年6月) 雇用は増加基調を維持、賃金は前月比横這い【デイリー】
2015年7月3日
【ポイント1】雇用者数は22.3万人増
失業率は5.3%に低下
■6月の非農業部門雇用者数は前月比22.3万人の増加となりました。市場予想(ブルームバーグ集計)の同23.3万人増をやや下回る結果となりましたが、月平均20万人超の雇用増加ペースを維持しました。
■一方、6月の失業率は5.3%と、5月の5.5%から0.2%ポイント改善しました。労働参加率が62.6%と、1970年代後半の水準まで低下したことを踏まえると、職探しを断念する労働者が増えたことが失業率低下の要因と考えられます。

【ポイント2】サービス部門の雇用が好調
賃金上昇率は前月比横ばい
■非農業部門雇用者数のうち民間部門は前月比22.3万人の増加でした。このうちサービス部門が同22.2万人増と、引き続き雇用の拡大をけん引しています。なかでも個人消費の拡大を背景とする小売業の雇用増加が目立ちました。
■時間あたり賃金は前月比横ばいとなり、前月の同+0.2%(速報値は同+0.3%)から伸びが縮小しました。前年比でも+2.0%と、前月の同+2.3%から鈍化しています。賃金上昇率は引き続き低い水準にとどまっています。

【今後の展開】金融市場は雇用や物価関連の指標に左右されやすい展開を予想
■雇用増加数は2015年1-3月期の月平均19.5万人増から4-6月期の同22.1万人へと加速しました。6月の失業率は2008年3月以来の低い水準であり、労働需給は引き続き改善したと考えられます。ただ6月の賃金の前月比伸び率が横這いにとどまったことから、早期の利上げ期待が後退し、米国債利回りは低下しました。
■米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げの条件として、雇用の更なる改善と物価上昇の合理的な確信を挙げています。エコノミストの間では、6月の雇用統計公表後も、9月利上げ説が大勢を占めているようです。金融市場は利上げ時期をにらみ、引き続き雇用や物価関連の指標に左右されやすい展開が予想されます。