米国の金融政策(2015年6月) 現行の政策を維持、景気判断は上方修正【デイリー】
2015年6月18日
【ポイント1】景気判断は上方修正
物価判断は据え置き
■6月16日~17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で現行の低金利政策の維持が決定されました。
■6月5日発表の5月の雇用統計で、非農業雇用者数が前月比28.0万人の増加となったことなどを受け、景気に対する評価は前回の「成長速度は鈍化」から「緩やかに拡大」へと上方修正されました。物価については、足元のインフレ指標は依然低水準である一方、中長期的なインフレ期待は引き続き安定しているとの判断で据え置かれました。

【ポイント2】フォワードガイダンスを維持
利上げタイミングを慎重に見極め
■金融政策の先行きを示すフォワードガイダンスについては前回と同様、「労働市場がさらに改善し、物価上昇率が中期的に2%の目標に戻っていくと合理的に確信(reasonably confident)した場合は、フェデラルファンド(FF)金利の目標レンジの引き上げが適切になる」という文言が維持されました。
■労働市場では失業率が直近5月時点で5.5%まで低下しました。時間あたり賃金や物価は伸び悩んでいますが、これらの指標は景気動向に遅れて動く指標であり、今後の上昇が見込まれます。これら指標を慎重に見極めながら、利上げを決定すると見られます。

【今後の展開】利上げが開始されても、その速度は緩やかなものになる見通し
■年内に利上げが開始される可能性が高まっていますが、5月の雇用統計の上振れや、今回のFOMC声明文の内容を受けて、市場参加者の間では、 9月16日~17日開催のFOMCで利上げが決定されるとの見方が優勢になっています。
■FOMCメンバーの金利予測から判断する限り、仮に金融緩和の解除が始まったとしても、利上げの速度は緩やかなものとなる見通しです。利上げによって市場が一時的に不安定となる可能性はありますが、影響は限定的と考えられます。