米国の主要企業の業績見通し 原油安、ドル高のマイナス要因を織り込み、今後持ち直しへ【デイリー】
2015年4月1日
【ポイント1】1-3月期は前年比▲2.8%
実現すれば2009年以来の減益
■トムソン・ロイターによると、主要500社の2015年1-3月期の増益率は、前年同期比▲2.8%と減益が予想されています(3月27日時点)。これが実現すれば、リーマンショック後の景気後退の影響が残る2009年7-9月期以来の減益となります。
■原油安による関連企業の業績悪化やドル高による海外部門の採算悪化は、事前予想への織り込みが進んでいると見られます。また、米国の景気は製造業を中心に弱含んでおり、決算発表を前に予想が実態以上に慎重になっているとも考えられ、今後上方修正が期待されます。

【ポイント2】業種別に明暗
原油安の影響は年前半まで
■業種別には、「エネルギー」の大幅な減益に加え、「公益事業」、「素材」などで減益となる一方、「金融」、「資本財・サービス」、「ヘルスケア」、「一般消費財・サービス」が堅調な増益予想です。
■「エネルギー」の利益は全体の10%程度を占めることから、60%を超すマイナスを除くと、全体では一桁台前半の底堅い増益が予想されていると見込まれます。原油安は昨年半ば以降進んだため、前年比の増益率への影響が弱まるのは今年半ば以降と考えられます。

【今後の展開】世界経済の回復と低金利環境の継続により、底堅い増益基調へ
■今後の増益率の推移をみると、年末に向けて徐々に上向き、2015年通年では前年比+1.8%の予想です。「エネルギー」(通年で▲56%の減益)を除くと、消費関連を中心に一桁台後半の堅調な増益が予想されています。原油安やドル高のマイナス要因は先行して織り込まれ、今後はそれらのプラス面が徐々に増益率を押し上げていくと予想されます。
■来年に向けても、世界経済は緩やかな回復基調を維持するものと見られます。世界経済の緩やかな回復を背景に、企業の売上も緩やかに伸び、底堅い増益基調が維持されそうです。低金利環境が継続する見通しも、企業の資金調達コストや投資マインドにプラスと見られ、また企業の収益性維持に対する取り組みも貢献し、底堅い増益基調を支えそうです。