ドル高を懸念する米国株式市場 企業業績への織り込みが進行中【デイリー】
2015年3月12日
【ポイント1】最高値更新後、軟調な展開
ドル高の影響を懸念
■米国の株式市場は3月2日に終値で史上最高値を更新した後軟調です。S&P500指数は、2日から11日まで▲3.6%下落しています。
■足元で注目されている要因は、ドル高の進行です。円高が日本企業の収益に影響するのと同様、ドル高の進行により、米国主要企業の収益見通しに不透明感が強まっています。

【ポイント2】ドル高局面でも売上高増加
収益予想への織り込みは進行中
■主要国が相次いで金融緩和に踏み切るなか、米国では年内の利上げ開始が予想されており、金利差拡大の思惑からドルが主要通貨に対して上昇しています。
■S&P500指数を構成する企業の海外売上高比率は40%程度と言われており、ドル高の影響は無視できません。1991年以降のS&P500指数構成企業の売上高とドルの関係を見ると、強い関係ではないものの、米ドル高が進む時に売上高が伸び悩む傾向が見られます。
■ただし、米国が好景気だった90年代後半には、ドル高でも売上高の伸び率がプラスを維持する局面が見られました。今回のドル高局面でも米国の景気の堅調さが企業収益をけん引する展開が期待されます。

【今後の展開】ドル高の織り込み一巡後は、企業収益拡大に沿う展開へ
■S&P500指数構成企業の2015年の売上高は、前年比▲0.2%と予想されています。原油安による業績悪化が見込まれるエネルギー関連を除くと同+4%程度の予想です。ドル高要因の織り込みはしばらく続くことが想定されます。当面は、株価の上値を抑える一因となりそうです。
■ただし、米国の利上げペースが緩やかとなる見込みなどから、さらなる急激なドル高の可能性は限定的と考えられます。ドル高要因の収益予想への織り込みが一巡した後は、株式市場は、堅調な米国の景気を背景に、企業収益の拡大に沿った展開となることが期待されます。