米国のISM景況感指数(2015年2月) 製造業で低下、非製造業で上昇【デイリー】
2015年3月5日
【ポイント1】製造業は4カ月連続で低下
在庫調整の動きがみられる
■2015年2月のISM製造業景況感指数は、総合指数が52.9ポイントと4カ月連続で低下しました。総合指数を構成する5指標のうち、新規受注、生産、雇用が前月から低下し、入荷遅延と在庫は前月から上昇しました。
■生産活動の先行指標である新規受注が明確な低下傾向にある一方、在庫が2カ月続けて上昇しました。在庫調整の動きがみられ、生産の持ち直しには今しばらく時間を要すると思われます。

【ポイント2】非製造業は上昇
雇用が大幅に改善
■2月のISM非製造業景況感指数は、総合指数が前月の56.7から上昇し、56.9ポイントと市場予想の56.5ポイント(ブルームバーグ集計)を上回る結果となりました。
■内訳を見ると、入荷遅延、在庫、雇用が前月から上昇した一方で、新規受注、企業活動は前月から低下しました。特に雇用は56.4ポイントと、前月から4.8ポイントの大幅改善となり、昨年10月以来4カ月ぶりの高い水準になりました。

【今後の展開】製造業の活動に懸念は残るが経済全体への影響は限定されよう
■製造業のアンケートでは、依然として西海岸の港湾労使交渉の難航による物流遅延を懸念する向きが多くみられました。しかしながら2月20日に5年間の労使協約で暫定合意が成立したことによってこの問題は解決したため、3月以降の指数改善要因になることが期待されます。
■非製造業のアンケートにおいても、複数の業種から西海岸の港湾労働紛争の影響を懸念する報告がありました。またエネルギー価格の低下がコスト軽減につながっているとの声もあがっていました。
■製造業で在庫調整が発生している可能性が高く、生産活動が低迷する懸念が残ります。ただ非製造業では雇用が大きく改善するなど、総じて底堅い動きが確認されているため、米国経済全体への影響は限定されると思われます。