米国の主要企業の業績見通し 原油安、ドル高のマイナス要因の織り込みが進む【デイリー】
2015年2月12日
【ポイント1】2014年10-12月期は+6.6%
決算発表本格化前から上方修正
■11日付のトムソン・ロイターのレポートによると、主要500社(決算発表済み345社の実績とそれ以外の予想を含む)の2014年10-12月期の増益率は前年同期比+6.6%と、決算発表が本格化する直前の予想同+4.2%から上振れています。
■原油安によるエネルギー関連の投資減速やドル高による海外部門の採算悪化は、概ね事前予想に織り込まれていたと見られ、予想対比の上振れには消費関連や情報技術関連などの業績上振れが貢献しました。

【ポイント2】景気敏感業種で堅調な増益
ドル高により海外部門で苦戦も
■業種別には、「エネルギー」で下方修正が続き大幅な減益となる一方、「情報技術」、「ヘルスケア」、「一般消費財・サービス」が大きく上方修正され、全体を押し上げました。その他、「資本財・サービス」でも上方修正され、全般に景気に敏感な業種が底堅い展開です。
■決算発表では、原油安やドル高による原材料コストの低下で収益性が改善し利益が上振れた例が見られました。一方、海外部門でのドル高のデメリットや新興国経済の減速で売上が伸び悩む例も見られ、全体としては緩やかな上方修正にとどまっています。

【今後の展開】世界経済の回復と低金利環境の継続により、底堅い増益が持続
■今後の増益率の推移をみると、2015年1-3月期は、前年同期比▲50%超の減益が見込まれている「エネルギー」セクターの影響により、全体でも減益の見通しです。その後、増益率は年後半にむけて上昇し2015年通年では前年比+2.7%の予想です。原油安やドル高のマイナス要因は先行して織り込まれ、今後はそのプラスの面が徐々に増益率を押し上げていくと見られます。
■来年に向けても、世界経済は緩やかな回復基調を維持するものと見られます。世界経済の緩やかな回復を背景に、企業の売上も緩やかに伸び、底堅い増益基調が維持されそうです。低金利環境が継続する見通しも、企業の資金調達コストや投資マインドにプラスと見られ、また企業の収益性維持に対する取り組みも貢献し、底堅い企業業績を支えそうです。