米国の債券市場(2015年2月) リスク回避の動きが後退し、国債利回りは足元で上昇【デイリー】
2015年2月10日
【ポイント1】米国債利回りは低下後上昇
リスク回避の動きに連れ利回り上昇
■1月中旬から月末にかけて、米国債利回りは低下しました。原油価格に底入れの兆しが見えないなか、投資家のリスク回避の動きが強まり、国債などの安全資産が買い進まれました。1月27日~28日のFOMCで低金利政策が維持されたことも国債利回りの低下要因となりました。
■2月に入り、米国の原油需給の改善期待により原油価格が反発したことなどから、投資家のリスク回避の動きが後退しました。米国企業決算が堅調なことや、1月の雇用統計で雇用環境の一層の改善が示されたことから利上げ開始が早まる観測も浮上し、米国債の利回りは上昇しました。
【ポイント2】社債スプレッドは足元で縮小
日米短期金利差は緩やかな拡大傾向
■社債スプレッド(国債との利回り差)は、国債利回りの低下がやや急なこともあり拡大していましたが、足元では縮小しつつあります。
■短期金利の動きをロンドン銀行間取引金利(LIBOR)でみると、利上げ観測から米国の短期金利が上昇する一方、日本では金利が低位で推移し、日米金利差は緩やかな拡大傾向にあります。
【今後の展開】債券利回りは当面低位安定、徐々に緩やかな上昇へ
■雇用環境の改善が続き、堅調な個人消費の持続が見込まれ、米国経済は来年にかけて年率+3%前後の成長が期待されます。
■債券市場では、今年半ば以降の利上げ開始が見込まれ、債券の利回りには上昇圧力がかかると見込まれます。ただし、物価の上昇が緩やかとなることから、利上げペースは緩やかなものにとどまると見られ、低金利環境が当面継続すると見込まれます。
■社債スプレッドは、主要米国企業の底堅い業績や慎重な財務運営、社債の相対的な高利回りなどから、今後も安定的に推移すると見込まれます。



