米国の雇用統計(2015年1月) 雇用の堅調な回復を裏付け【デイリー】
2015年2月9日
【ポイント1】雇用者数は25.7万人増
11月、12月は大幅上方修正
■1月の非農業部門雇用者数は前月比25.7万人増となり、市場予想(ブルームバーグ集計)の同22.8万人増を上回る結果となりました。また同時に昨年11月分は同35.3万人増から42.3万人増へ、12月分は同25.2万人増から32.9万人増へ、それぞれ大幅に上方修正されました。
■1月の失業率は5.7%と前月から0.1ポイント上昇しましたが、これは雇用環境の改善を背景に、求職者が増加した影響によるものとみられます。

【ポイント2】サービス業がけん引
賃金は依然伸び悩み
■1月の非農業部門雇用者のうち民間部門は前月比26.7万人の増加となりました。業種別にみると、製造業が同2.2万人増、建設業が同3.9万人増と、ともに前月から伸びが鈍化しましたが、小売業は同4.6万人増と前月から大幅に増加し、サービス業全体(同20.9万人増)の雇用の伸びに貢献しました。
■時間あたり賃金は前月比0.5%上昇と、前月の同0.2%低下から改善し、2008年11月以来の高い伸びとなりました。しかし前年比では2.2%の上昇にとどまっており、金融危機前の水準を回復するには至っていません。

【今後の展開】イエレンFRB議長の議会証言に注目
■雇用者数は失業率の安定的な低下に必要とされる前月比15~20万人増を超える推移が続いており、雇用は堅調に回復しています。また生産年齢人口に占める働く意思を持つ労働力人口の割合(労働参加率)は62.9%と前月の62.7%から改善し、就職をあきらめていた人が職探しを始めたことも窺えます。
■今回の結果を受け、市場では米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利上げ観測が浮上しましたが、賃金面からのインフレ圧力は限定的です。今月24日にイエレンFRB議長の議会証言が予定されていますので、そこで雇用および物価についてどのような見解が示されるのか、利上げ開始の時期を読む上で注目されます。