米国の債券市場(2015年1月) リスク回避的な動きが強まり、国債利回りは低下【デイリー】
2015年1月16日
【ポイント1】米国債利回りは低下
リスク回避的な動きが強まる
■12月中旬以降、1月中旬にかけて米国債利回りは低下しました。原油安が急ピッチで進み、投資家のリスク回避的な動きが強まったことから、国債などの安全資産が買い進まれ、10年物米国国債の利回りは、心理的な節目とされる2%を下回りました。12月のISM景況感指数や雇用統計などは米国経済の堅調さを示しました。しかし、同月の小売売上高は前月比▲0.9%下落したことなどから、投資家のリスク回避的な動きが続いています。ギリシャで総選挙が予定され、債務の減免要求を掲げる政党が優勢と見られることやスイスの中央銀行の突然の政策変更も投資家心理を冷やしています。

【ポイント2】社債スプレッドは拡大
日米短期金利差も若干拡大
■米国債利回りの低下に比べ、社債利回りの低下が緩やかだったことから、社債スプレッド(国債との利回り差)は、拡大傾向にあります。
■短期金利の動きをロンドン銀行間取引金利(LIBOR)でみると、米国では2015年半ば以降の利上げ開始観測が高まり短期金利が上昇した一方、日本では日銀の金融緩和が継続し金利の低下が進み、日米金利差は若干拡大しました。

【今後の展開】債券利回りは当面低位安定、徐々に緩やかな上昇へ
■原油安は中期的には家計の購買力を強めると見られ、雇用環境の改善が続いていることなどから、米国経済は来年にかけて年率+3%前後の堅調な成長が続くと見込まれます。
■債券市場では、今年半ば以降の利上げ開始が見込まれ、債券の利回りには上昇圧力がかかりそうです。ただし、物価上昇率が上向くペースが緩やかなことから、利上げは緩やかなものにとどまると見られ、低金利環境が当面継続する見込みです。
■社債スプレッドは、主要米国企業の底堅い業績や慎重な財務運営、社債の相対的な高利回りなどから、今後も安定的に推移すると見込まれます。