原油価格とMLP市場の見通し 原油生産量の拡大によりMLPの収益も拡大【デイリー】
2015年1月16日
【ポイント1】原油安のMLPへの影響は限定的
原油価格は年後半に向け上向く
■原油価格は、昨年11月にOPECが減産を見送り、米国での原油生産も拡大を続ける中、年明け以降も軟調に推移しています。WTIは、年初から15日まで▲13%下落し、1バレルあたり46ドルとなっています。
■一方、米国で石油掘削の稼働数が減少するなど、今年後半を見据えると生産量が落ち着く要因も出てきました。米国エネルギー情報局(EIA)は2015年のWTIの平均価格を71~72ドルと予想しています。世界経済が落ち着けば原油需要が回復し、価格も上向くものと期待されます。
■MLP※市場(アレリアンMLPトータルリターン指数)は年初から15日まで▲7.6%の下落にとどまっており、原油価格の下落に比べて下落幅は限定的です。
※MLPとは、Master Limited Partnershipの略称で、米国で行われる共同事業形態のひとつです。エネルギー・資源関連が多くを占めます。株式と同様、米国の金融取引所などで取引されています。

【ポイント2】原油価格に左右されない収益
利回りの高さもサポート要因
■MLPは、長期契約に基づくエネルギー輸送事業など収益が比較的安定的な事業が多く、短期的な原油価格の下落による収益への影響は限定的です。このことはMLP市場の下落が限定的となっている要因のひとつと思われます。
■また、足元のMLP市場の下落により利回りが上昇しており、国債との利回り差が拡大しています。このこともMLP市場を支える要因と見られます。

【今後の展開】シェールオイル増産の傾向は不変、生産量拡大でMLPの収益も拡大
■原油安が行き過ぎると、原油生産者の経営が厳しくなる懸念が強まります。今年に入り、米国の小規模なシェールオイル(非在来型の原油)生産企業が経営破たんしました。ただし、規模が小さく影響は限定的なうえ、大手事業者にとっては企業買収など業界再編のチャンスとの見方もあります。
■EIAは2015年の米国の石油生産量が前年比7%増加すると予想しています。中長期的な増産傾向とMLP事業の安定性に変化はうかがわれず、MLPの収益・配当は安定的な成長が期待されます。短期的には原油市場の動向などにより不安定な展開も予想されますが、中長期的に安定的な事業がMLP市場を支えると考えられます。