ホームマーケット日々のマーケットレポート米国の雇用統計(2014年12月)  堅調な雇用増の一方、賃金は伸び悩み【デイリー】/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

米国の雇用統計(2014年12月)  堅調な雇用増の一方、賃金は伸び悩み【デイリー】

2015年1月13日

【ポイント1】雇用者数は25.2万人増

失業率は5.6%に低下
■雇用環境は着実に改善しています。12月の非農業部門雇用者数は前月比25.2万人の増加となりました。市場予想(ブルームバーグ集計)の同24.0万人を上回ったうえ、10月、11月分は合計5.0万人上方修正されました。また、失業率は5.6%に低下しました。

■2014年通年では、前年末から295.2万人雇用者が増え、失業率は同じく1.1ポイント低下しました。年間の雇用者増は2000年以降で最大です。

【ポイント2】全ての業種分類で雇用者増

平均賃金の伸び悩みは継続
■12月の非農業部門雇用者のうち、民間部門は24.0万人の増加です。これを業種別に見ると、年末商戦向け臨時雇用の要因が薄れた小売業で鈍化したものの、サービス業全体では前月比17.3万人増と底堅い内容です。製造業・建設業では、建設業がけん引し全体で6.7万人増と前月を上回る増加となりました。

■一方、賃金の伸びはなかなか上向いてきません。12月の時間あたり平均賃金は、前年同月比+1.7%にとどまりました。雇用増が進み労働需給が引き締まる方向にもかかわらず賃金が上向かないのは、雇用増が小売業などの比較的低賃金の業種が中心のためとの指摘もあります。

【今後の展開】雇用環境の改善が進み、利上げ時期を占うカギは物価と賃金に

■物価上昇率(11月の個人消費支出物価指数コアは前年同月比+1.4%)は、FRBの目標2%を下回っています。物価が上向かない要因は、昨年来の原油安とドル高に加え、賃金の伸びが上向かないことも関係しています。FRBが重視する長期失業者の減少など雇用の「質」の面も改善が進んでいることから、今後の金融政策を見るうえで、物価の重要度が増していると思われます。とりわけ賃金の伸びがカギと見られます。

■低インフレ下では利上げを急ぐ必要性が薄れる反面、実質ゼロ金利政策の長期化が過度なリスク選好を助長する懸念を高めます。今年後半と見られる利上げ開始に向け、FRBが物価と市場リスクにどのような判断を下すかが注目されます。

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