米国のISM景況感指数(2014年12月) 製造業、非製造業ともに低下も景気拡大を示唆【デイリー】
2015年1月7日
【ポイント1】製造業は2カ月連続で低下
港湾における物流遅延も影響
■2014年12月のISM製造業景況感指数は、総合指数が55.5ポイントと2カ月連続で低下しました。内訳を見ると、足元を示す生産指数や先行きを示す新規受注指数が比較的大きく低下し、景気の勢いがやや鈍っていることを示しました。
■ただし、企業のコメントでは、西海岸の港湾労組交渉の難航による物流遅延、原油など商品価格の下落を受けた仕入れの様子見などが指摘され、短期的な要因が景況感を押し下げた模様です。

【ポイント2】非製造業も低下
企業コメントは総じて楽観的
■12月のISM非製造業景況感指数は、総合指数が前月比▲3.1ポイントの56.2ポイントとなりました。内訳を見ると、足元を示す企業活動指数の大幅低下をはじめ、全構成項目が低下しました。
■企業のコメントでは、港湾の物流遅延による悪影響への指摘が見られました。一方、原油価格下落による資金繰り改善、好調な年末商戦、企業向けサービスの当面の明るい見通しなど、全体的には楽観的なコメントが目立ちました。

【今後の展開】雇用の改善、エネルギー価格下落などから景気拡大が続く見込み
■12月は製造業、非製造業ともに低下しましたが、景気拡大が持続可能なペースに落ち着くという見方ができそうです。総合指数の水準はいずれも好不況の境目となる50を上回っており、企業活動は今後も堅調と見られます。
■雇用指数は製造業で上昇し、非製造業では底堅い水準を維持しています。雇用の改善から、消費も堅調さを維持しそうです。
■企業の景況感からは、雇用・所得環境の改善がうかがわれ、エネルギー価格の下落も個人消費を下支えしそうです。内需は引き続き堅調で、景気をけん引する見通しです。
■利上げが今年半ば以降に予想されますが、物価は低位で推移すると見られ、利上げ開始を急ぐ必要性は低いと考えられます。低金利環境の継続からも、景気は拡大が続くと見込まれます。