最近の指標から見る米国経済(2014年9月) 企業景況感や雇用の「質」の改善が進む【デイリー】
2014年9月30日
【ポイント1】ISM景況感指数は一層改善
足元、先行きともに60ポイント台半ば
■8月のISM景況感指数は、製造業が前月比+1.9ポイント、非製造業が同+0.9ポイントと改善が一層進みました。製造業は足元の活動を示す生産指数と、先行きを示す新規受注指数がともに同+3.3ポイントの60ポイント台半ばと高水準です。非製造業は新規受注指数が同▲1.1ポイントと低下しましたが、足元を示す企業活動指数とともに60ポイント台半ばの高水準を維持しています。9月分の市場予想は製造業、非製造業ともに58.5ポイントと、高水準を維持すると見込まれます。

【ポイント2】雇用や物価の改善は足踏み
雇用の「質」の改善は進む
■8月の非農業部門雇用者数は前月比+14.2万人と、前月まで6カ月連続で同+20万人超となっていた水準から、増加幅が縮小しました。また失業率は6.1%と前月から横ばいでした。一方、長期失業者数の減少など「質」の改善が進みました。
■8月の個人消費支出価格指数は前年同月比+1.5%でした。2014年5月に同+1.7%となった後伸びが鈍化しており、FRBの長期目標の同+2.0%には届いていません。賃金の伸びも緩慢なままであり、当面は低水準が続くと見込まれます。
【今後の展開】堅調な景気拡大と金融緩和縮小を背景に、ドル高円安基調の見込み
■ISM景況感指数は、先行きの堅調さを示唆しており、米国景気の拡大は続くと見込まれ、年後半は年率3%前後の成長が見込まれます。
■FRBは9月のFOMCで雇用環境の改善と物価の上昇の見通しが幅広く裏付けられるならば、次回10月のFOMCでQEを終了するとしました。現在の低金利政策は「相当期間」据え置く一方、3カ月に1度の経済見通しでは、2015年以降の利上げペースの予想が従来よりも若干上振れました。こうしたことから、一時1米ドル=109円台後半となるなど、一段と米ドル高円安が進みました。
■米国では、雇用の「質」の改善や物価上昇などが十分となると見込まれる2015年後半以降に利上げが行われると見込まれます。また、日米の景気や金融政策の方向性の違いなどから、今後も米ドル高円安基調が続くと見込まれます。
