欧米株式市場の最近の動向 今後は企業業績の拡大に沿い堅調な推移へ【デイリー】
2014年8月7日
【ポイント1】足元の下落は地政学リスクが影響
欧州株の下落がより大きい
■NYダウは、7月16日に17,138.20ドルの史上最高値を付けましたが、ウクライナ情勢の波及などの地政学的リスクの高まりを受け、8月6日までにピークから約4%下落しました。また欧州でも同様に、ユーロストックス50が6月の直近のピークから8月6日までに8%弱下落しました。

【ポイント2】対ロシア制裁による欧州景気への影響を注視
欧州企業の一部で業績下方修正
■6日、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ問題から対ロシア制裁を実施した米欧に対し、向こう1年間農産品などの輸入を制限する大統領令に署名しました。
■EUの貿易相手国として、ロシアは輸入では12%程度、輸出では7%程度と上位にあり、欧州経済への影響が懸念されます。ユーロストックスの構成銘柄の業績は7-9月期以降も増益が見込まれていますが、足元では利益見通しを下方修正する企業も見受けられます。
■また、ポルトガル中央銀行が同国のエスピリト・サント銀行への支援を決めたものの、債権保有者が損失計上を迫られていることも、市場の不安要因となっています。
【今後の展開】年後半は回復基調が見込まれるが、制裁の影響長期化に注意
■米国では、2014年4-6月期の実質GDP成長率が前期比年率+4.0%と市場予想を上回ったほか、7月のISM景況感指数は、製造業・非製造業ともに前月を上回り高水準を維持しています。また、NYダウ採用銘柄の4-6月期の業績は、前年同期比+7%程度の増益となりそうです。
■年後半の世界経済は米国を中心に、回復基調を強めると見込まれ、企業業績の拡大に沿った株価上昇が見込まれます。
■日米欧とロシアの双方による経済制裁が長引き、特に欧州企業を中心に企業業績や景況感が悪化する場合には注意が必要です。