【デイリー No.1,925】米国の金融政策(7月) ~QE縮小継続、雇用・物価の判断は前進~
2014年7月31日
<ポイント>
・FRBは、資産購入額の350億米ドルから250億米ドルへの減額と、ゼロ金利政策の継続を決定しました。
・雇用と物価の判断を前進させた一方、労働市場には未稼働の労働資源が著しく残っていると指摘しました。
・FRBは今年10月にもQEを終了し、幅広く経済指標を点検しながら当面ゼロ金利政策を維持する見込みです。
1.資産購入額は月額250億米ドルへ縮小
FRBは7月29日~30日のFOMCにおいて、QEの縮小継続を決定しました。8月以降、資産購入額は月額350億米ドルから250億米ドルに減額されます。内訳は、長期国債が200億米ドルから150億米ドル、住宅ローン担保証券(MBS)が150億米ドルから100億米ドルにそれぞれ減額されます。また、政策金利を0~0.25%とするゼロ金利政策の維持を決定しました。
2.雇用や物価の判断を前進
今回の声明文では、景気の判断について、4-6月期に経済活動が立ち直ったとしました。具体的には、住宅市場の回復が遅いとしたものの、家計支出の緩やかな伸びや民間設備投資の改善を挙げました。FRBがデュアル・マンデート(2つの使命)とする雇用と物価についても、その判断を前進させました。雇用については、失業率が一段と低下し、労働市場の状態は改善したとしました。また、物価については、FRBの長期目標である+2%にやや近づいてきているとし、今後、物価上昇率がこれを下回る水準が続く可能性がやや低下したとしました。

3.今後の見通し
同日発表された米国の2014年4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+4.0%と、前四半期の同▲2.1%から大幅に改善しプラス成長へと転じました。今回の声明文でFRBは、広く米国経済において今後の労働市場を改善させるために十分な底堅さがあると評価しており、QEは今年10月にも終了すると見込まれます。ただし、FRBは労働市場の関連指標は依然として未稼働の労働資源が著しく残っていることを示していると指摘しています。また、雇用の最大化と物価の安定のため、労働市場の関連指標や物価関連の指標のほか、幅広い指標を点検する必要があるとも指摘しており、現在の実質ゼロ金利政策は当面維持される見込みです。今回の会合では9人の参加者のうち1名が、足元の景気回復を鑑み、「QE終了後も長期にわたり」低金利政策を維持するという表現に反対票を投じましたが、市場では利上げのタイミング予想に大きな変動はなく、利上げは2015年後半以降になると見込まれます。