【デイリー No.1,912】米国の主要企業の業績動向と今後の見通し ~年後半に増益率は加速~
2014年7月14日
<ポイント>
●主要企業の4-6月期の増益率は前年同期比+6.1%と前四半期の同+5.6%から上昇する見込みです。
●「金融」の減益が続く一方、「資本財・サービス」や「情報技術」などが増益率を伸ばすと見込まれます。
●年後半の世界経済の緩やかな加速を背景に、増益率は2014年後半に再び二桁となる見込みです。ただし、金融緩和縮小に伴う金利上昇などがリスク要因と見られます。
1.前期に引き続き、企業業績は底堅さを維持
11日付のトムソン・ロイターのレポートによると、主要500社(決算発表済み27社実績とそれ以外の予想を含む)の4-6月期の増益率は前年同期比+6.1%と、前期の同+5.6%から上昇する見込みです。前期は寒波の影響や新興国の景気減速などから増益率が低下しましたが、今期は増益率がやや加速し、企業業績は底堅さを維持する見込みです。

2.10業種中8業種で売上が増加する見込み
業種別にみると、「資本財・サービス」や「情報技術」など世界経済の拡大の恩恵を受けやすい業種を中心に前期から増益率が上昇する見込みです。また、前期に減益だった「エネルギー」は+10.5%と増益に転じると見込まれています。一方、「金融」は住宅ローン収入の減少などから、前期に続いて減益となる見込みです。
また主要500社の4-6月期の売上は、前年同期比+3.0%となる見込みです。業種別では10業種のうち、「エネルギー」と「金融」を除く8業種で売上が増加する見込みです。なかでも「ヘルスケア」や「情報技術」で一桁半ばから後半の増収となる見込みです。

3.今後の見通し
今後の増益率の推移をみると、7-9月期以降は再び二桁増へと回復し、2014年通年では前年比+8.9%となると見込まれています。今後は中国などの新興国景気の減速も落ち着くと見られ、年後半に向けて世界景気は緩やかに回復すると見込まれます。企業業績は緩やかな売上の増加に支えられ、底堅い増益が続くと見込まれます。米国では、今秋にもQE縮小が終了し、2015年後半以降の利上げが見込まれています。現状の金利水準は低位で安定しています。ただし今後金融緩和策縮小に伴い市場金利が上昇する場合には、企業の資金調達コストや投資マインドに影響する可能性もあり、こうしたことがリスク要因の一つと見られます。