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【デイリー No.1,907】米国の雇用統計(6月) ~雇用情勢は着実に改善~

2014年7月4日

<ポイント>
・6月の非農業部門雇用者数は前月比+28.8万人と市場予想を上回り、5カ月連続で20万人超となりました。
・失業率は前月比▲0.2%の6.1%と低下し、幅広い業種の就業者増加を伴う、内容の良い結果となりました。
・長期失業者の減少など雇用の質が一段と改善し、年末に向け雇用者の堅調な増加は続くとみられ、今後雇用関係の指標に加え物価動向なども見ながら、2015年後半以降にも利上げが行われると見込まれます。

1.雇用者増は5カ月連続20万人超、失業率は低下

 6月の非農業部門雇用者数は前月比+28.8万人と、市場予想(ブルームバーグ集計)の同+21.5万人を大幅に上回りました。合わせて5月分は21.7万人から22.4万人へ、4月分は28.2万人から30.4万人へと、合計2.9万人上方修正されました。雇用者数の増加は5カ月連続で20万人超となり、過去3カ月を平均した推移でも、増加ペースが顕著に加速しています。
 また、6月の失業率は6.1%と前月から低下しました。労働参加率が62.8%と前月から横ばいの中、就業者の増加を伴う失業率の低下となり、内容の良い結果となりました。

2.幅広い業種で雇用者が増加、長期失業者は減少

 雇用者数増加の内訳を見ると、民間部門は前月比+26.2万人、政府部門は同+2.6万人と、今月は政府部門でも増加が見られました。
 民間部門を業種別に見ると、小売業や企業向けビジネスサービスをはじめ、教育・医療やレジャー・娯楽業などサービス部門が全体をけん引しているほか、建設業や製造業など幅広い業種において雇用者が増加しました。
 また今月は、雇用者の増加や失業率の低下にとどまらず、雇用の質の改善が加速しました。これまで労働市場のスラック(たるみ)として注目されてきた27週以上の長期失業者が今月は大幅に減少しました。

3.今後の見通し

 非農業部門雇用者数の増加幅は5カ月連続で20万人超となり、失業率の安定的な低下に必要とされる前月比+15万人~20万人を超える水準で増加しています。雇用情勢は、年末年始の寒波の影響を脱し、着実に回復してきており、今後も雇用者は基調として20万人超のペースで増加することが見込まれます。
 今月は幅広い業種において雇用者の増加が見られただけでなく、長期失業者数が大幅に減少し、今後の金融政策を見る上で、QE終了後の利上げへ向けた条件の改善が進んだと見られます。ただし、長期失業者の多さと同様にこれまで指摘されてきた賃金上昇の緩慢さについては、6月は前年同月比+2.0%と、2010年以降は2%前後での推移が続いています。こうしたことから当面は低金利政策が維持され、その後の利上げについては雇用関係の指標に加え物価の動向なども見ながら、2015年後半以降に行われると見込まれます。

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