【デイリー No.1,898】日米の株式市場の動向と見通し
2014年6月25日
<ポイント>
・米国株は、企業収益の拡大と低金利の長期化観測などを背景に、緩やかな上昇を続けそうです。
・日本株は、円安一服などを背景に株価が年初から伸び悩んだこともあり、相対的に割安感があります。
・日本株は、法人税減税や年金運用改革などへの期待、割安感などから、市場の再評価も想定されます。
1.米国株は史上最高値の更新が続く
米国株は5月中旬以降は堅調に推移し、6月も史上最高値の更新を続ける取引日が多く見られます。足元では、6月中旬のFOMCが低金利の長期化を意識させるものであったことなどが、支援材料となっています。
また、1-3月期のS&P500指数構成企業の増益率は前年同期比+5.6%と、決算発表前に同+1%程度と見ていた市場予想を上回り、安心感を誘いました。市場は増益率が2014年後半に、同二桁増へと回復していくと見込んでいます。

2.日本株も政策期待などから反発
日本株は、円安の一服などを背景に年初から下落していましたが、5月後半からは反発しています。今年前半は、消費税増税前の駆け込み需要とその反動によって、景気の上下の振れも想定されましたが、増税後の反動減は1~2カ月程度に留まるとの安心感が広がっています。
また、6月には成長戦略の枠組みが一段と見えてきました。法人税減税は欧米並みの20%台までの引き下げを目指すことが政府方針に明記されました。今後の進ちょく次第では、アベノミクスの停滞感の解消にもつながりそうです。また、公的年金運用の改革により、年金運用における株式保有の割合が高まると見られることは、市場にとって好材料です。
2014年度の企業業績は、2013年度の大幅な円高是正のような追い風が無いなかでも、小幅な増益が続く見込みです。

3.今後の見通し
株価収益率(PER)を見ると、米国株はこのところ割安感が低下しています。しかし、米国景気が寒波の影響を受けた年初以降、底堅く回復していることには変わりなく、米国株は企業収益の拡大に伴って、緩やかな上昇を続けそうです。
一方、日本株は相対的に割安感があり、海外投資家からの再評価も想定されます。6月第一週の投資家別売買動向では、海外勢が2週連続の買い越しとなりました。また、信託銀行も買い越しており、公的年金に先駆けて株式保有を増やそうとする企業年金などの動きとも見られます。今後は為替や地政学リスク、政策の進ちょくに注目です。
