【デイリー No.1,894】米国の金融政策(6月) ~QE縮小を継続、景気の着実な回復を確認~
2014年6月19日
<ポイント>
・FRBは、資産購入額の450億米ドルから350億米ドルへの減額と、ゼロ金利政策の継続を決定しました。
・2014年のGDP成長率見通しを引き下げた一方、失業率を全期間にわたり小幅に引き下げました。
・FRBは今秋にもQEを終了し、物価動向などを慎重に見極めながら当面ゼロ金利政策を維持する見込みです。
1.市場の予想通り、QEの縮小を継続
FRBは6月17日~18日のFOMCにおいて、QEの縮小継続を決定しました。7月以降、資産購入額は月額450億米ドルから350億米ドルに減額されます。内訳は、長期国債が250億米ドルから200億米ドル、住宅ローン担保証券(MBS)が200億米ドルから150億米ドルとされます。また、政策金利を0~0.25%とするゼロ金利政策を維持しました。
2.2014年のGDP見通しを引き下げ
今回の声明文では、景気の判断について、前回の「悪天候の一巡から持ち直している」から、「ここ数カ月で再び立ち直ってきた」としました。2014年のGDP成長率見通しは引き下げられたものの、回復の見方がやや強められたほか、全般的に前回4月の見方が据え置かれました。
今回のFOMCで更改された3カ月に一度の経済見通しでは、年末年始の寒波を受けた1-3月期のGDP成長率が前期比年率▲1.0%(暫定値)とマイナスに転じたことなどを受け、2014年のGDP見通しが引き下げられました。一方、2015年、2016年は据え置かれています。また、足元の雇用者数の増加や失業率の低下を受けて、失業率の見通しが全期間にわたり小幅に引き下げられました。インフレの見通しについては、ほぼ据え置かれました。

3.今後の見通し
失業率については見通しが改善したものの、長期失業者の多さに加え、賃金上昇率の緩慢さが指摘されています。また、インフレについては直近のPCE価格指数の上昇率は上向いているものの、特殊要因も多く、直近ではFRBの長期目標の水準(2%)を下回っています。しかし、今後は緩やかに上昇し、長期的には目標に向かうとFRBは見ています。
今回のFOMCでは、FRBの見通しや金融政策に大きな変更はなかったと思われます。QEは今秋の終了に向けてこれまでと同様のペースで縮小され、その後は物価の動向や雇用の質の改善などが幅広く点検されながら利上げのタイミングは2015年後半以降となると見込まれます。